
モルックで笑顔あふれるまちづくり!
「AZABUモルック」の体験会に行ってきました
今、全国でじわじわと人気が高まっている「モルック」というスポーツを知っていますか?
フィンランド発祥のシンプルなゲームで、1から12までの数字が書かれた木製のピンを、棒を投げて倒し、合計点を競います。
そんなモルックを通じて麻布の活性化に取り組んでいるのが、「AZABUモルック」です。今回は、その発起人である渡部 睦生さん(愛称:むっさん)にお話を伺いました。
さらに、モルックの体験会にも参加させてもらったので、その様子もレポートします!

AZABUモルック発起人・渡部 睦生さん(むっさん)
フィンランド生まれの投擲競技
「モルック」の波が日本で拡大中
モルックは、北欧フィンランドのカレリア地方に伝わる「キイッカ(kyykkä)」というゲームをもとに、1996年に開発されたスポーツです。
フィンランドでは、サウナで外気を浴びる際などに楽しむスポーツとして親しまれているそう。
日本に渡ってきたのは、2011年のこと。
フィンランド・ヘルシンキに留学していた、日本モルック協会の代表理事を務める八ツ賀秀一さんが、日本人チームとして現地のモルック世界大会に出場。その後、日本モルック協会を設立しました。
帰国の際にフィンランドからモルックセットを持ち帰り、国内での普及活動を始めたそうです。2024年には、世界大会が北海道函館市で開催されるなど、日本でもモルックの人気が高まっています。

数字の入ったピンと、それを倒す棒を使う、手軽に楽しめるスポーツ。
麻布を彩るモルック普及プロジェクト
「AZABUモルック」誕生の裏側
日本でも徐々に広がりを見せているモルック。人気が高まってきたとはいえまだまだ認知度の低いモルックを、渡部さんはどのように始めたのでしょうか。
渡部さん:知人からモルックの存在を教えてもらい、興味を持ってネットで調べているうちに、「モルック体験会」の情報を見つけました。2024年の夏、モルックの大会と同時に開催されていた体験会で、講師を務めていたのが元日本代表の方でした。
体験会でモルックの魅力に引き込まれ、すぐにモルックセットを購入しました。その後、港区内で練習できる場所を探し回り、現在は芝公園を中心に練習を重ねています。
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——「AZABUモルック」を立ち上げた経緯を教えてください。
渡部さん:私はもともと、港区三田周辺で足もみのボランティア活動をしていました。
2024年に三田から東麻布に引っ越してきて、東麻布でもボランティア活動をしたいと考えていたところ、麻布地区の地域情報誌『ザ・AZABU』が郵便受けに投函されているのを見つけました。
そこで、麻布地区で取り組まれている、「み」ん「な」でまちを「良く」するコミュニティデザイン活動「ミナヨク」を知り、応募したんです。
▼渡部さんの足もみに関するブログはこちら
https://note.com/ashimomi_mussan
ミナヨクは、2015年から港区麻布地区総合支所で始まった地域活性化事業のひとつ。地域に愛着を持ち、地域活動に取り組む「地域サポーター」を発掘・育成し、新しい地域のつながりをつくることを目指した事業です。
渡部さん:ミナヨクでは、メンバーでまちづくりのアイデアを出し合い、実際に活動していくのですが、そこで生まれたのが「AZABUモルック」です。
足もみでの活動も考えましたが、自分1人でしかできないことや、すでに活動実績があったことから、「モルック」を選びました。
モルック個人戦の対戦相手が、私と同じ麻布在住だったことも、「AZABUモルック」を立ち上げようと思った理由のひとつです。対戦をきっかけに一緒に練習するようになり、ミナヨクでのモルック普及プロジェクトにも協力してくれるようになりました。今ではAZABUモルックの活動パートナーとして、体験会の開催や大会への出場なども一緒に行っています。
——AZABUモルックの活動をするうえで、大切にしていることはありますか?
渡部さん:「AZABUモルック」はモルック普及プロジェクトであり、クラブやチームなどの組織をつくりたくて立ち上げたわけではありません。
初めて体験する人たちが集まっても、モルックを通じて笑顔になれる。そんな「コミュニティツール」としての可能性を伝えていきたいです。
定期的に体験会を開催するだけでなく、練習をしている時に興味を持って見てくださる方には、モルックを知ってもらえるよう積極的に声をかけています。

AZABUモルックイメージキャラクター「ミナヨック」。港区麻布に住む、モルック好きのタヌキです。
画像提供:AZABUモルック
お祭りや学童クラブ、国際交流も!
地域とつながるモルック活用
渡部さん:AZABUモルックの体験会は、旧港区立飯倉小学校が廃止された後、東麻布二丁目複合施設として設置された「東麻布区民協働スペース」を拠点に実施されています。
この会場でモルックの活動を始めたきっかけは、ミナヨクと縁のある場所だったからです。
ミナヨクでは、地域サポーターを育成するため、体験学習や企画案づくりなどのプログラムを実施しています。私が参加したミナヨク9期のプログラムのほとんどが、ここ東麻布区民協働スペースで行われました。
また、ミナヨク修了生は麻布地区の区民協働スペースを利用できるため、AZABUモルックの活動場所に選びました。

渡部さんのAZABUモルック活動パートナー・ようへいさんの投擲姿
画像提供:AZABUモルック
渡部さん:東麻布二丁目複合施設は「飯倉三・四丁目町会」の地域にあります。
町会長の野村さんは、東麻布街づくり協議会の事務局業務も担当しています。日頃から、親子で楽しめ、親睦交流や高齢者の適度な運動にもなる、室内外でできるスポーツゲームを検討していたそうです。そこでモルックに大変興味をもってくださり、「一緒に活動できないか」と声をかけていただいたことも活動拠点に選んだ大きな理由です。

東麻布街づくり協議会では、12名のプロジェクトリーダーを中心に活動する「地域プラットフォーム」を整備しています。活動団体のひとつ「みなとベルファム」では、ハンドベルの演奏が楽しめます。
(飯倉三・四丁目町会会長の野村知義さん。東麻布区民協働スペース・ロビースペースの体験会場をバックに。)
渡部さん:印象に残っているのは、飯倉熊野神社まつりにあわせて開催される「飯倉三・四まつり」に、2年連続でモルックイベントを実施させていただいたことです。
また、東麻布街づくり協議会のミーティングで学童クラブの責任者の方と知り合ったことで、飯倉学童クラブの子どもたちとのモルック交流会も実現しました。

飯倉三・四まつりに出店した「モルック縁日」の様子。
画像提供:AZABUモルック
——地域のお祭りや学童クラブなど、モルックを通じて新たなつながりが生まれているのですね!ほかにも交流のエピソードはありますか?
渡部さん:普段、自主練習を行っている都立芝公園では、韓国、中国、アメリカ、スペイン、カナダ、スイス、コロンビアなど、さまざまな国の方とモルックで交流することができました。
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——麻布で活動するなかで感じる、このまちならではの魅力は何でしょう?
渡部さん:一般的には煌びやかなイメージが強いと思いますが、実際に住んでみると、人情味あふれる方々が多く、温かいまちです。麻布エリアは1970年代、住居表示法によって町名の整理が行われ、なくなった町名もありますが、江戸時代から続く地名を使った自治会も多く、地域のみなさんがそれぞれの形で歴史を守っているのが印象的です。体験会場周辺の自治会名に残る「飯倉」は、なんと鎌倉時代から続く地名で、史書『吾妻鏡』にも記されています。
自治会名に歴史が宿る、人情深いまち・麻布。そんな場所で、人と人をつなぐモルックの活動が広がっていることに、これからのまちの可能性を感じます。

東麻布区民協働スペースから徒歩10分弱のところにある「飯倉片町」交差点にて。交差点名にも、かつての地名「飯倉」の名が残っています。
簡単そうで実は奥深い!
地域のみなさんとモルックを初体験
さらに今回は、いざまち編集部でもモルックを体験!当日は雨天のため、室内での開催となりました。
雨天時は、モルック用具にシリコンカバー「バンパー」を装着して練習を行います。
バンパーは、フィンランドのTACTIC社が製造する、日本モルック協会公式のモルック向けに開発されました。室内でも床を傷つけずに、モルックを楽しめます。

数字の入った木製のピンは「スキットル」と呼びます。

投げる棒を「モルック」と呼びます。体験会に参加していた小学生くらいのお子さんも、持ちやすそうな太さでした。
通常は50点を目指すルールですが、今回は体験会ということで、目標点数を30点に設定して試合に挑戦!
点数の数え方は2種類あります。1本だけ倒れた場合は、スキットルに書かれている数字がそのまま得点に。複数本倒れた場合は、スキットルの数字に関係なく、倒れた本数が得点になります。

最初はこの状態からスタート。

モルックを投げる位置は決まっていて、床に置かれた「モルッカ―リ」の内側から投げます。
スキットルは倒された地点で再び立てられます。チームで交互に投げ合いながら、点数が30点ぴったりになるように計算していきます。1点でも超えてしまった場合は、半分の15点から再スタート。思っていたよりも頭を使うなぁ、という印象です。
さらに、相手があと少しで勝利という状況になったら、ほかのスキットルを倒して、狙っている数字のスキットルに近づけることで、相手の攻撃を妨害することもできます。
例えば、相手の点数が19点の場合、あと11点で勝利となります。写真のように、番号⑪のスキットルが離れた地点に単独で立っている場合は、ほかのスキットルを当てて番号⑪のスキットルに近づけることで、相手が狙いにくい状況をつくることができます。

写真中央のスキットルに当てて、遠くにある番号⑪のスキットルに近づける方法も。
私はこの妨害作戦で、相手の絶好のチャンスを封じることに成功しました(笑)
初めてのモルックの試合は、なんと29対29という面白い展開に。この状況は、番号①のスキットル単体を倒す以外勝つことができない盤面です。ほかの数字や2本以上を倒すと、「バースト」といって点数が半分になります。また、3回連続して番号①のスキットルを倒すことができないと、「3ミス」といって失格になり、そこで試合終了。負けとなります。

ハラハラする試合展開に。
モルックをスキットルに当てるのも、意外と難しいもの。モルックがバウンドすると進行方向が変わってしまい、思い通りの場所に飛んでいかないのです。一発でスキットルに当てられるよう、これまで以上に集中しました。
攻防が繰り広げられ、見事、私が最後の1点のスキットルを倒して勝利!観戦していた周りの参加者のみなさんも大盛り上がりでした。
——初めてモルックをやってみて、シンプルなルールだけれど、意外と頭を使うスポーツだと感じました。
渡部さん:モルックの動作自体は誰でも簡単にできますが、「先に50点ぴったりになったほうが勝ち」というルールのおかげで、どうやってそこに辿り着くかという戦略的な楽しさが加わります。「50点ぴったり」というのが簡単そうに見えて実は奥深くて、面白いんです。
モルックは、フィンランド産の白樺で作られた道具の肌触りや、木と木がぶつかるときの心地よい音も、大きな魅力ですね。
——モルックの魅力を伝えていくなかで、今後、挑戦したいことはありますか?
渡部さん:飯倉三・四丁目町会の野村会長ともお話しているのですが、今後は地域の方向けのモルック大会を開催したいと考えています。「家族対抗戦」や「自治会対抗戦」のような、地域の絆が深まる趣旨の大会です。
普及活動とは別に、大会への出場も並行して行っていますので、大きな大会で入賞するなど、実績を残すことも目標にしています。
AZABUモルックでは、今年から公式LINEを開設しました!臨時体験会などの情報もお伝えしています。また、モルックに関するブログ(note)も随時更新中です。
体験会以外にも、都立芝公園のいきいき広場をメインに、早朝や週末に練習を行っています。見かけた際は、お気軽にお声がけください!

全身を動かしながら、集中力や計算力も鍛えられるモルック。脳トレにもおすすめです。
画像提供:AZABUモルック
渡部さんの「モルックはコミュニティツール」という言葉の意味を、実際に感じることができた今回の取材。
麻布は下町のような雰囲気が残る一方、麻布台ヒルズのような開発エリアもあり、さまざまな表情を持つまちです。そんな麻布の廃校舎を活用した場所で、人と人とのつながりを広げ、地域の笑顔を生み出していく「AZABUモルック」。スポーツをきっかけに生まれる新たな地域交流に、今後も注目していきたいです。
【AZABUモルック】
E-mail:azabu.molkky.minayoku@gmail.com
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