
4日仕込みの絶品欧風カレー店「カレーバーPiLiPiLi.」——日々頑張るあなたへ贈る「サクラ咲くさくら坂カレー」
東麻布商店街の一角で営む
創業41年愛される欧風カレー店へ
港区は、東京23区の中でも特に起伏に富み、坂の多い区として知られています。実は、坂の名前とその由来が表記された「標柱」の立つ坂が、区内に79ヵ所も存在しています。
さらに、六本木ヒルズの開発に伴い、六本木6丁目地区の高低差を活かした景観や道路が整備されたことで、数々の坂道があらたに誕生しました。
今回は再開発により誕生した坂のひとつ、六本木の「さくら坂」をテーマにしたご当地カレーをご紹介します。
「さくら坂」をテーマにしたカレーが味わえるのは、「カレーバーPiLiPiLi.(ピリピリ)」です。都営大江戸線赤羽橋駅「中之橋口」から徒歩約3分。「麻布いーすと通り」沿い、「東麻布商店街」の一角にあります。
この東麻布商店街は、秋のお祭りとして地域住民が主体で行う「かかしまつり」が開催されることで有名です。この商店街に住んでいた、東北地方から上京し住み込みで働いていた人たちを励ましたい、という想いから、山形県の「かかし祭り」をモデルに始まったそうです。

お店までは赤羽橋駅「中之橋口」からの方がアクセスしやすいですが、「赤羽橋口」から地上に出ると道路の向こうに東京タワーが望めます。

東麻布1丁目から2丁目に伸びる「東麻布商店街」。
環状三号線沿いに位置する東麻布商店街の入り口から、およそ2分。右手に白い建物が見えてきます。
そこが、伊藤さんご夫婦で営む欧風カレー店「カレーバーPiLiPiLi.(ピリピリ)」です。まずは、女将の伊藤 恭子(いとう きょうこ)さんにお話を伺いました。
——「麻布坂カレープロジェクト」に参加されたきっかけは何ですか。
恭子さん:この企画の情報を見つけて「面白そうだな」と思い参加しました。うちは創業41周年で、もともと麻布十番で営業していました。ビルの建て替えのためこちらの物件に移動してきたのが10年前になります。麻布地区でずっとカレー屋さんを営んでいたので、港区が「ご当地グルメを作る」という企画の存在を知り、ぜひ協力したいと思い始めました。
申し込みの際に驚いたのが、カレープロジェクトの担当者の方が、もともと「カレーバーPiLiPiLi.」のカレーが好きで、よく食べにいらしていたお客様だったということ。「ぜひ最初の3店舗に」と仰っていただき、第一弾として選んでいただきました。
——「カレーバーPiLiPiLi.」のカレー作りのこだわりは何ですか。
恭子さん:インドカレーやスパイスカレーのお店が多い中、私たちはヨーロピアンカレー専門店を41年営んでいます。ザ・ジャパニーズカレーは欧風から来ているもので、ヨーロピアンカレー=日本のカレーの味のひとつだと思います。
ヨーロピアンということで、飴色玉ねぎを1日かけて炒めて作り、ブイヨンも大山鶏のガラや香味野菜を2日間煮込んでいます。こうしたベースに厳選素材やオリジナルスパイスを加え、さらに1日煮込んで仕上げるカレーはコラーゲンがたっぷりと溶けだし、とろみのあるソースに仕上がっています。
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受験や勝負ごとにぴったり!
「サクラサク」縁起の良いご当地カレーをお届け
——「カレーバーPiLiPiLi.」で提供している「さくら坂カレー」のこだわりを教えてください。
恭子さん:今年は私の娘の大学受験の年でした。さくらといえば、受験合格を意味する「サクラサク」という言葉のように、縁起の良いイメージがありますよね。外国の方も、さくらを好きな方が多く、日本といえば「さくら」を連想する方も多いと思います。一皿の中で、「晴れやかな気持ちになってもらえたら」と思い、さくらの花びらを散りばめた、かわいらしいカレーを考えました。

東麻布商店街の一角、「成城石井 東麻布店」の道路をはさんで向かいにあります。

カレーバーPiLiPiLi.では、「さくら坂カレー」などすべてのメニューがテイクアウトできます。
実は私、キャラ弁作り歴が18年。子どもが離乳食の時からキャラクターをかたどった料理を作っていました。季節やイベントごと、それから毎年のお誕生日には、子どもの好きなキャラクターでお弁当を作りました。成長とともに好みも変わり、小さい頃はアンパンマン、中学生になるとゲーム「マインクラフト」など、さまざまなキャラ弁を注文されてきました。
この技術を応用しました。さくら坂カレーでは、細かい桜の花びらをカレーに貼り付けてさくら坂を表現しています。花びらの型があるわけではないので、複数の型を組み合わせてくりぬいています。
受験シーズンや勝負ごとの前などにもぜひ食べていただきたいです。私も、娘に塾弁を持って通わせていました。なので塾弁にも使えるよう、テイクアウトにも対応させています。中学受験の数日前はこのお弁当がかなり人気でした。ゲン担ぎをしたいと購入される方が多いですね。
大学受験のお孫さんやお受験を控えた親戚の甥っ子のためにエールを送りたいものの、直接会って風邪を移す可能性を考慮して接触を控えている方が、ご自分でこれを食べて「サクラサクように」と写真を送って応援したという話も伺いました。そのお子さんは見事合格したそうですよ。
——とてもかわいらしいエピソードを聞いて、私もほっこりしました。
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恭子さん:そもそも「さくら坂」を選んだ理由は、乃木坂や欅坂といったアイドルグループ「坂道シリーズ」の名前にも使われており、知名度の高い坂のひとつであることからです。
さくら坂カレーを提供するようになってからは、「坂学会」の方が訪れることも増えました。昨年の「麻布坂カレーフェスタ」の際にも、坂学会の方がいち早く来店され、「全店舗をまわって景品のTシャツを手に入れた」とお話されていました。

白と黄色の壁、青のチェアを基調としたおしゃれな空間でカレーを味わえます。

お支払い時は「みなとくPAY」も利用できます。

春にはソメイヨシノが両脇に咲き誇る六本木のさくら坂。坂沿いには、「ロボロボ公園」の愛称で親しまれる「さくら坂公園」があります。
▼さくら坂公園についてはこちらの記事で紹介しています。
港区の公園「さくら坂公園」
街の移り変わりが生み出す魅力
下町のあたたかさと先進文化が混在する麻布十番
麻布十番でお店を続けて感じた街の魅力について、二代目としてお店を継ぐ、伊藤 大輔(いとう だいすけ)さんにもお話を伺いました。
大輔さん:麻布十番で30年ほど営業していましたが、ビルの取り壊しに伴い、現在の場所へ移転してきました。東麻布は港区の華やかなイメージとは異なり、下町のような人情あふれるあたたかい街です。十番も、駅ができる2000年までは観光客が少なく、地元の人が中心の地域で、今とはまた違った雰囲気がありました。
——初めて麻布エリアを訪れる方に向けて、街歩きの楽しみ方を教えてください。
大輔さん:「増上寺」や「東京タワー」のような歴史あるスポットも多く、観光にぴったりです。
恭子さん:一方で、新しく開発された「麻布台ヒルズ」のようなエリアもあります。新旧の街並みが混在し、徒歩で周遊できるのも麻布ならではの魅力だと感じます。
大輔さん:食に関しても、大使館が多い影響もあり、多国籍の料理店が集まっています。本場さながらの海外の料理が味わえますよ。
恭子さん:このあたりの保育園や幼稚園のお散歩の様子を見ていると、外国のお子さんが多いように感じます。
——街を歩いていると、公園の周辺でも英語が飛び交い、子ども連れの姿をよく見かけます。食や施設など、街を形づくるさまざまな面で多文化が入り混じる、豊かな地域ですよね。

「カレーバーPiLiPiLi.」二代目店主の伊藤大輔さん。
ピリピリカレーで身体も心もホットに
実家を思わせる笑顔と応援の言葉でエナジーチャージ
お話を伺った後は、「さくら坂カレー」を実食。坂カレーならではの傾斜を表現し、さくらの花びらをかたどった食材でデコレーションしていく様子を、実際に見せていただきました。

カレーソースは注文ごとに一鍋一鍋辛さを調節して提供。

ライスはお弁当パックの中にあらかじめ詰めたものをお皿に盛り付け。

さくら坂の傾斜を表現しています。

皿を大きく傾けてもこぼれないほど、コラーゲンがたっぷり溶けだしたソースが味わえます。

数種類の型の一部分を組み合わせてさくらの花びらをくりぬきます。

ハムをくりぬいて作った一皿分のさくらの花びら。

1枚1枚手で貼り付けていきます。非常に細かい作業です。
辛さは6段階から選べます。中でも4~5辛の「辛口」や「大辛」が人気です。蒙古タンメン中本がお好きでよく通っているという伊藤大輔さんは「激辛」、恭子さんは「大辛」がお好みとのこと。今回は、一般的な中辛と同じくらいの「普通」でいただきました。

花びらが舞い落ちる華やかなカレーソースが魅力。ライスには一口サイズのヒレカツが2枚添えられています。

さくらの木に見立てた素揚げのブロッコリーも味わいのアクセント。
カレーバーPiLiPiLi.のカレーは「普通」が一般的な「中辛」に相当すると伺っていましたが、思わずうなずく辛さ。ピリピリと舌が痺れる、クセになる味わいです。その中に玉ねぎの甘みやブイヨンのコクと旨味が重なり、奥行きのある味わいに仕上がっています。
外はサクサク、中は驚くほど柔らかなヒレカツは甘みも感じられ、濃密なソースのピリリとした辛さと相性抜群です。
スプーンですくうと跡が残るほどのとろみに驚きながら、あっという間に完食しました。
個人的には、夜限定メニューの「ふわトロオムチーズカレー」も気になるところ。次回は仕事帰りに訪れて、ぜひ味わってみたいです。
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取材を通して特に印象に残ったのは、取材を申し込んだ電話のときや、インタビューの最中、そして別れ際に女将がかけてくださった「坂カレーの取材、がんばってください」というエールの言葉でした。
参加飲食店と記事制作者という立場の違いはあっても、「麻布坂カレー」で地域を盛り上げたいという想いは同じなのだと実感しました。
カレーを味わうためだけでなく、伊藤さんご夫婦に挨拶をしに訪れたくなる、そんな温かさに満ちたお店です。
港区の中でも下町のような雰囲気が漂う東麻布商店街。懐かしさを感じる風景と人情、そして身も心も温まる欧風カレーを味わいに、また訪れたいです。
【カレーバーPiLiPiLi.】
住所:東京都港区東麻布1-18-1
時間:平日11:30~14:30、18:00~21:00
定休日:毎週土・日曜、祝日
アクセス:都営地下鉄大江戸線 赤羽橋駅「中之橋口」より徒歩約3分
サクラ咲くさくら坂カレー:1,550円(税込)

