
港区で1時間の新旧建築散歩! 東京タワーや麻布台ヒルズを巡る【昭和から令和の名建築4選】
それぞれの時代を特徴づけ、今に伝えてくれる個性的な「建築物」。もちろん港区にもさまざまな時代を象徴する名建築が残っています。
今回は、1時間程度で巡れる港区に残る名建築を4つピックアップし、それぞれの背景を深掘り。個性的な建築物を巡りながら、時代の変遷に想いを馳せてみましょう。
【東京タワー】復興の希望でもあり、東京、そして港区のランドマーク的存在
港区の名建築として外せないのが「東京タワー」。正式名称は「日本電波塔」です。その名の通り、当時はテレビやFM放送の電波基地局としての役割を担っていました。

1958(昭和33)年12月23日に完成した東京タワー
高さは自立式の鉄塔として当時世界最高の333m。パリのエッフェル塔(300m)よりも高く、東京スカイツリーが完成するまでは、日本で最も高い建造物でした。1957(昭和32)年に着工し、1年半後の1958(昭和33)年12月23日完成という、驚異のスピードで建設されています。
東京タワーの設計者は、内藤多仲(ないとう・たちゅう)。「耐震構造の父」とも称されており、東京タワーの設計以前には、名古屋テレビ塔やさっぽろテレビ塔なども手掛けています。
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ちなみに内藤が耐震構造に興味を持ったきっかけは、旅行用トランクの仕切り版を外した状態で体重をかけてしまい、トランクを破壊してしまったことがきっかけだそう。
東京タワーが登場する小説や映画、楽曲などの作品は数えられないほどあります。港区と縁が深い人だけでなく、日本に暮らす誰もが「自分と東京タワーの思い出」を持っているのではないでしょうか。
戦後、高度経済成長や復興の象徴として大きな役割を果たした東京タワーは、機能美や構造的な美しさだけでなく、令和の時代になると、どこかノスタルジーを感じさせる存在に。しかしその見た目とは裏腹に、現在は展望台のプロジェクションマッピング、デジタルアミューズメントパークなど近代的なアトラクションも体験できます。
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港区のみならず東京のランドマークとして、いつまでも私たちを見守ってくれる存在が東京タワーなのです。
【ノアビル】統一感のない素材・形が融合することで唯一無二の建築に!
東京タワーの竣工から16年後、1974(昭和49)年に麻布台に登場したのが、建築家・白井晟一(しらい・せいいち)の美学を惜しみなく注ぎ込んだ「ノアビル」です。

1974(昭和49)年に登場したNOAビル。
飯倉交差点の角に悠然と立つ、まるで要塞のような強固な建築は、下部はどっしりとしたレンガ造り、そこに硫化銅板で覆われた円筒がそびえ立ち、中央に「NOA」のロゴが。レンガに覆われ、数メートルにも及ぶエントランスへのアプローチは、まるでRPGの世界に迷い込んだかのような気分に。
戦後の日本に求められていたのは、機能性や合理性を追求したモダニズム建築。そんな風潮のなか、白井は自身の建築物に自然素材を使用して細部にまでこだわり、重量感や存在感ある建築を生み出しています。
ドイツに留学していた際、ゴシック建築に加えドイツ哲学も学んでいた白井。独自の作風から「哲学の建築家」と言われることもあります。
実は、渋谷区にある「松涛美術館」も白井による建築。言われてみると、ノアビルと松涛美術館、醸し出す空気感が似ているような気がしませんか?
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近代的な建造物が量産された昭和中後期ですが、このように建築家の個性を前面に出した個性的なビルも多く誕生しました。格子状の外壁が特徴的な、ニュー新橋ビルも1971(昭和46)年に竣工しており、ある意味、とても贅沢な時代です。

ニュー新橋ビルの竣工は昭和46(1971)年2月。
現在、ノアビルは主にオフィスとして利用されているため自由に出入りするのは難しいですが、昭和の名建築で働くのも夢じゃないかもしれませんよ。
【国立新美術館】立体的なガラスウォールが特徴! 黒川紀章が設計した最後の美術館

2007(平成19)年に完成した国立新美術館。
フランス建築アカデミーのゴールドメダルをはじめ、国内外で数多くの賞を受賞した建築家・黒川紀章(くろかわ・きしょう)。名古屋市美術館、広島市現代美術館のほかオランダのゴッホ美術館新館など多くの美術館を設計しましたが、最後に設計したのが国立新美術館。国立新美術館は2007(平成19)年に完成した、日本最大級の美術館です。
青山公園や青山霊園のすぐそばにある国立新美術館のコンセプトは、「緑の中の美術館」。まるで波のようなうねりが美しいガラスのカーテンウォールの内側は、広く自然光が差し込む吹き抜けのアトリウム。カフェやレストランも併設されており、近隣の自然を四季折々楽しむことができます。
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独自のコレクション(収蔵品)を常設展として展示しつつ企画展なども行うのが一般的な美術館ですが、国立新美術館はコレクションを持たない美術館なので、公募展がメイン。そのため設計時も、「国民参加型の新しい美術館」という条件があったそう。
洗練された美しさだけでなく機能性も兼ね備えた建築で、最寄りの東京メトロ千代田線「乃木坂駅」にも直結。展示室も組み合わせたり仕切ったりすることが可能で、大きなガラスウォールでたっぷりと日光を感じることができるのに、日射熱・紫外線カットの省エネ設計です。
実は港区との縁も深い黒川紀章。現在は解体されてしまいましたが、日本赤十字社の本社や青山ベルコモンズ、六本木プリンスホテルも黒川が手掛けた建築です。
【麻布台ヒルズ】国際性、複合性を兼ねた新たな建築は建築家もワールドワイド
2023(令和5)年に、港区の新たな顔として加わったのが、「麻布台ヒルズ」です。麻布台ヒルズは、330mの高層タワー・麻布台ヒルズ森JPタワーのほか、2棟のレジデンス、商業施設を有するガーデンプラザなど、多様な都市機能が徒歩圏内に集約されたコンパクトシティ。

麻布台ヒルズは2023(令和5)年より港区の新しい顔に。
デザイナーや建築家も多彩で、たとえば波打つようなユニークな低層階デザインを担当したのは、ロンドン五輪の聖火台をデザインしたトーマス・ヘザウィック、商業施設エリアは藤本壮介と小坂竜の2名が手掛けています。7カ国の建築家・デザイナーが関わっており、それぞれの個性やこだわりが存分に生かされたデザイン。
季節ごとに多様な景観を見せてくれる植栽にも注目しましょう。芝生が広がる中央広場だけでなく、個性的なウェーブを活用した果樹園も備えられており、ミカンやブルーベリーなど、なんと11種類の果物が育てられています。
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リフレッシュや健康づくりに効果的な定期セッションも開催されており、ランやヨガなどのフィットネスに参加できるのもうれしいところ。予約申し込みが必要ですが、無料で参加できるプログラムもあるので、仕事終わりに参加してみるのはいかがでしょうか。
時代ごとにさまざまな名建築を楽しめる港区
今回ご紹介した名建築ですが、実は外苑東通りを中心に1時間ほど歩くだけで回ることができます。
人気の商業施設だけでなく、寺社仏閣や公園の多い港区は、「建築」をテーマにしたお散歩も楽しめるエリア。今回はご紹介できませんでしたが、「迎賓館赤坂離宮」「港区立郷土歴史館」「旧乃木邸」「港区立伝統文化交流館」をはじめ、歴史的建築が多く残されています。
▼迎賓館赤坂離宮、港区郷土歴史館などについてはこちらの記事で紹介しています
赤坂にそびえ立つ宮殿……迎賓館赤坂離宮
【港区立郷土歴史館】……白金台駅すぐにある宮殿の正体は区立の博物館!?
【旧乃木邸】年に数回、一般公開!乃木希典が自ら設計した簡素でモダンな邸宅
【港区立伝統文化交流館】芝浦で暮らす人の文化を保存し未来へ継承する施設
2026年5月16日(土)~ 24日(日)には、東京の個性的な建築を楽しむことができる「東京建築祭2026」が開催されます。普段は見られない貴重な建築を見学できたり、さまざまな建築物の背景を知ることができたりと、新しいまちの魅力を発見で切るかもしれません。
「今日は建築を堪能する日」など、ひとつのテーマを決めて街歩きをすれば、普段は気づかない、自分だけの小さな発見があるかもしれません。港区の建築をテーマにしたお散歩、いかがでしょうか。

