【港区の商店会】港区の子供と大人を笑顔で繋ぐ――「青山表参道商店会」
港区青山の地に古くより受け継がれている、「青山表参道商店会」。都心の一等地にありながら、お祭りや季節の行事も盛んで、企業や店舗の人々の繋がりが強固な商店会です。
夏に善光寺で行われた、「納涼盆踊り大会」も主催している青山表参道商店会。今回は、同商店会会長の竹内陽治さんにお話を伺いました。
日常でも特別行事でも、子供たちとの繋がりを創出
青山表参道商店会では、地域の子供たちとのつながりが強固なのも特徴の1つです。街には「青南小学校」があり、竹内さんの母校でもあるそうです。
「商店街では月に2回、第2・第4金曜日に地域清掃を実施していますが、青南小学校の子供たちが参加してくれる時もあります」
青南小学校の子供たちは、全員が地域に住んでいるわけではありませんが、清掃を通じてさまざまな再発見があるようです。
「清掃を通じて、子供たちも自分たちの学び舎がある街を知り、親しみが芽生えてくれているようです」
ハロウィンなど季節行事も盛りだくさん
ハロウィンイベント「HAPPY HALLOWEEN AOYAMA」では、仮装した子供たちが地図をもらい、青山の企業や店舗を訪れます。「トリックオアトリート」と合言葉を唱えると、お菓子がもらえる仕組みです。
「配るお菓子はお店によってさまざまですが、ラッピングしたりリボンを巻いたりしてくださるお店もあります」
子供たちに喜んでもらえるように工夫を欠かさない商店会の方々の工夫があって、こうしたイベントは成り立っています。
「私も自転車で街を巡ったのですが、お店によっては開始からわずか30分で、用意したお菓子を配り終えてしまうところもありました」
イベントの開始時間は、一律で17:30でした。わずか30分でお菓子を渡し終えてしまうなんて、子供たちの注目の高さがうかがるエピソードです。
街中に鬼登場!? 2月の節分祭
真冬の寒さ厳しい2月には、「節分祭」を開催する同商店会。表参道駅すぐそばの秋葉神社で式典を行った後、地元の「青南幼稚園」「青山保育園」「青南小学校」の子供たちが参加し、鬼さんたちに豆まきを体験しました。
赤と緑の衣装も鮮やかな鬼さんたちに、子供だけでなく、大人たちも大喜びの様子でした。
商店会を構成する由緒ある店舗
青山表参道商店会には、約180もの店舗が名を連ねているそうです。都会の商店会としては、かなりの大規模に思えます。
「やはり、お店の二代目や三代目を継いだ世代が入ってくれるのが大きいでしょうね。若い世代の方たちは、親御さんが商店会で活動している姿を見て育っているので、自分たちもと入ってくれるケースが多いのです」
2023年頃からさまざまな催しやイベントができるようになり、商店会の活動も活発化していましたが、コロナ禍では事業が思うように進まず、会員数(店舗数)が減少した時期もあったそうです。
「やはりコロナ過では、会員とのコミュニケーションが取りづらくなってしまいます。盆踊り大会やハロウィンを再び開催できるようになった現在では、会員同士で溝なく、仲良くやっていきたいと思いますね。商店会の活動は基本的にボランティアなので、できる限り楽しんで事業やイベントをやっていきたいと思っています」
老舗店が多いのも、青山表参道商店会の大きな特徴です。山陽道書店さんは1891年創業、三河屋酒店は1901年創業と、古い歴史を持っています。最古の北村薬局さんのルーツは、なんと江戸時代の1867年頃にまで遡るそう。
「父から聞いた話では、善光寺さんの寺侍としてこの地にやって来て、その後薬局を開業したそうです」
青山表参道商店会自体も、昨年で商店会発足から70周年を迎えられました。
「今後も、80年、90年、100年と続けていけたらと思います。できるだけ、若い世代の方にも担っていただけたら嬉しいですね」
進化していく祭事と、変わらない絆
青山表参道商店会といえば、夏に欠かせないのが「謝恩納涼盆踊り大会」です。
「かつてはテントやテーブル、イス、やぐらまで、全て自分たちで設営した時期もありました。十数年前から港区より補助金を頂けるようになり、今ではやぐらの制作は専門家である建築会社さんにお願いしています。私たちはその分、ブースの設営や来場者のおもてなしに注力することができました。省力化した分、ほかのところで来場者にご満足いただける企画を立てられたと思います」
その甲斐あって、盆踊り大会には多数の来場者が訪れました。日曜日には外国人観光客が、翌月曜日には仕事帰りに立ち寄った方が多かったそうです。
「子供たちにとって楽しみである企画を、これからも続けていきたいと思います」と語ってくれた竹内さん。地域の輪を育むあたたかい心と、恵まれた立地環境。そのどちらも根ざした青山表参道商店会では、今日も人々の笑顔があふれかえっています。