
旧芝離宮恩賜庭園を幻想的にライトアップ! 普段は入れない夜の庭園が癒しの場所になる4日間
JR「浜松町駅」から徒歩1分/都営地下鉄大江戸線「大門駅」から徒歩3分、江戸初期に誕生し現在も都心に残る大名庭園が「旧芝離宮恩賜庭園」です。
通常の開園時間は9:00~17:00ですが、実は「夜の大名庭園」を堪能できる機会があります。それが、年に一度だけ開催されるイベント「旧芝離宮夜会 by ワントゥーテン」。

入口からもいつもとは違う特別感を感じられます。
この特別なイベントを庭園を管理する公益財団法人東京都公園協会と一緒に開催しているのが、一般社団法人竹芝エリアマネジメント、一般社団法人芝浦エリアマネジメント、一般社団法人浜松町芝大門エリアマネジメントと、株式会社ワントゥーテンの皆さんです。
「まちづくりのために奮闘するのがエリアマネジメント」というのは、以前の取材で教えていただきましたが、3エリアが共同でイベントを行うのは珍しいのではないでしょうか?
▼浜松町芝大門エリアのまちづくりについては、こちらの記事で紹介しています
浜松町の再開発|世界貿易センタービル本館開業の先に見据える、全員が「ご近所さん」のまちづくり
今回は、そんなイベントのレポートと共に、中心メンバーでもある一般社団法人竹芝エリアマネジメントのみなさんに伺った、夜会を開催したきっかけなどをご紹介します!
夜空のビル群を借景に! 年に一度、光に演出された夜の旧芝離宮恩賜庭園を堪能
2026年5月20~23日に開催された旧芝離宮夜会のテーマは、「ひかり宿る庭の記憶」。
このイベントの魅力は、何と言っても普段は入れない夜の旧芝離宮恩賜庭園に入れることと、素晴らしい大名庭園が幻想的にライトアップされていることです。
※撮影協力:(公財) 東京都公園協会 ドローン映像提供:DRONE/47®
取材にお邪魔した日は、雨模様だった前日と違い、夏らしくなってきた心地よい夜風が吹く、絶好のイベント日和。非日常の空間で、多くの人たちがお酒や美味しいフードを片手に、大きな泉水(池)のほとりで穏やかな時間を過ごしていました(平日だったので、仕事帰りの気分転換に訪れている方も多かったですよ!)。

画像提供:株式会社ワントゥーテン
園内は、庭園をより魅力的に演出するライトアップや和傘のオブジェに加え、美しく手入れされた植栽に、ホタルのように揺らめく柔らかく小さな光も……。庭園を歩く人たちからも、「キレイ~!」という感嘆の声が上がっており、みなさん、上手に写真に収めようと奮闘されていました。
夜の中島に現れた提灯行列とは……?
旧芝離宮恩賜庭園のライトアップイベントは2018年から行われていますが、2026年に初登場し、大人気だったのは、大きな池の中央にある「中島」に、東京都公園協会の職員のガイド付きで提灯を片手に訪れる「中島観賞ツアー」。

画像提供:株式会社ワントゥーテン
ガイド付きツアー+中島のキャパシティもあり、人数制限もあったプレミアムなイベント。なんと、前日に定員オーバーで参加できず、翌日にリベンジを果たしに来た方もいたそう。
池のほとりで食事片手にライトアップされた庭園に見とれていると、フッと中島に提灯行列が見えるので、「え? あれはなに?」という声も上がっていました。

夜の中島に登場した提灯行列に、見ている人からも驚きの声が。
ビジネスパーソンも足を運んでほしい! その気持ちからはじまった旧芝離宮恩賜庭園の夜間開放
「旧芝離宮夜会」は、公益財団法人東京都公園協会が主催し、一般社団法人竹芝エリアマネジメント、一般社団法人芝浦エリアマネジメント、一般社団法人浜松町芝大門エリアマネジメントと、株式会社ワントゥーテンが共催するイベント。

画像提供:株式会社ワントゥーテン
3つのエリアマネジメントのなかでも、今回の旧芝離宮夜会の中心として動いていたのは竹芝エリアマネジメントのみなさんとのことで、竹芝エリアマネジメントの藤田寛生さん、段佑龍さん、前田拓人さんにいろいろ教えていただきました。
「エリアマネジメントが3エリア共催でイベントを開催する、というのは珍しいですよね。竹芝エリアマネジメントの活動エリアは浜松町駅から東側なので、旧芝離宮恩賜庭園はエリア内。『夜会』と銘打ったイベントは2026年で8回目なのですが、浜松町駅周辺の方に、こんなに素晴らしい文化財庭園があると知っていただきたい、足を運んでいただきたい、と考えたのが、夜間開園開催のきっかけです」と、段さん。
旧芝離宮恩賜庭園の閉園時間は17:00なので、働かれている方の退勤時間に間に合わない。じゃあ、夜間特別開園ならみなさんも足を運びやすいのでは? ということだそう。

ビルに囲まれたオアシス、旧芝離宮恩賜庭園
「3エリア合同の『共催』という形になったのは、第6回の夜会からですね。もちろんそれ以前の夜会も、竹芝以外2エリアのエリアマネジメントの方々に協力いただいていましたが、3エリア共催となったことで、運営体制と企業連携の幅が大きく広がりました」(段さん)
続けて、分かりやすく具体例も教えてくれます。
「3エリア合同になったからこそ、ご協力を依頼できる近隣の企業さんが増えた、というのは大きいですよね。例えば、2026年の夜会でフードをご提供くださったのは、東京タワーのすぐ横にある結婚式場『The Place of Tokyo』さん。エリアとしては、浜松町芝大門エリアなので、浜松町芝大門エリアマネジメントさん経由で協力のご相談をしたり」

画像提供:株式会社ワントゥーテン
イベントに訪れた際、飲食ブースでお客さんの対応をされていたのは、以前「いざまち」で取材させていただいた、浜松町芝大門エリアマネジメントの方!
段さんにお伝えすると、「担当ブースは各エリアマネジメントで毎年持ち回りなんですが、今年は浜松町芝大門さんが飲食ブースの担当だったんです(笑)」とのこと。
エリアマネジメントのみなさん総出でイベントを盛り上げているんですね。

画像提供:株式会社ワントゥーテン
実績を積み上げたからこそ実現! 大人気だった夜の中島観賞ツアー
旧芝離宮夜会で欠かせないのは、幻想的なライトアップ。でも、文化財でもある旧芝離宮恩賜庭園でこのようなイベントを開催するのは、簡単なことではないのでは? と聞くと、段さんをはじめ、みなさん大きくうなずかれます。
「文化財庭園ですので、お庭に影響する対応は基本的にできないんです。例えば、照明を立てるために杭を打つとか、自然の植栽に手を入れることはできない。でも、毎年イベントを続けることで、庭園を管理されている東京都公園協会さんとの信頼関係も構築でき、新しい挑戦もできるようになりましたね」

夜会開園直後の明るい時間から、多彩な来園者が訪れていました。
着実に実績を積み重ねることで信頼を得られたからこそ実現したのが、2026年に初登場した、「夜の中島観賞ツアー」。
段さんをはじめ、みなさんの満足そうな表情から、中島観賞ツアーがどれだけ成功したのかが伝わってきました。
気づいてた? 夜の中島観賞ツアーの提灯、実はとても貴重なもの
法被を羽織って提灯を片手に、旧芝離宮恩賜庭園の解説を聞きながら夜の中島を歩いて巡る「中島観賞ツアー」。実はこのツアーで使われた提灯も貴重な品だった、と段さんが教えてくれました。
「ツアーの先頭/後方で担当者が手にしていた提灯は、実はツアー参加者の方が持っていた提灯と違い、江戸時代に起源を持つ小田原提灯なんです。手掛けている職人さんも限られる貴重な提灯なんですが、これは公園協会さんが『使っていいよ』と、貸してくれたものです」

ツアー最後尾のスタッフが持つ、蛇腹の提灯が貴重な小田原提灯です
「貴重なものだから、お借りしたこちらもドキドキで。2026年の夜会はあいにくの天気の日もあったんですが、少しでも雨が降りそうになったら『濡らしたら大変だ!』って大慌て(笑)」と笑うお三方。
「中島観賞ツアーは私たちが予想していた以上に好評で、希望されるすべての方に体験していただけなかったのは、来年以降の課題ですね。ただ、参加いただいた方の満足度は本当に高くて、ご来場いただいた方のアンケートも中島観賞ツアーの感想が非常に多かったです」
法被や提灯というアイデアは、周りで見ている人にも楽しんでほしい! という気持ちから生まれたそう。「参加されている方は貴重な体験ですが、周りで食事をしながら庭園を眺めている方も楽しめる風景にしたかったんです」と、みなさん。

提灯の明かりで暗がりを歩くのもなかなかできない経験!
ご紹介した通り、遠くからツアーの提灯行列に驚いたり、写真に収めようとしている人も多く、みなさんのアイデアが、見事に形になっていました。また、法被+提灯という小道具も、残念ながらツアーに参加はできなかったけど、記念撮影だけさせていただけますか? と、声をかける人も多かったそう。
参加者は貴重な体験を経験しつつ、その姿は「庭園のライトアップ」の一端を担う、旧芝離宮夜会ならではのイベントです。
庭園を魅力的に引き立てるライトアップ。ただし、あくまで主役は「庭園」
「ライトアップと聞くと、カラフルで派手な光が多用されて、という印象もあるかもしれないですが、このイベントの場合、あくまでも主役は旧芝離宮恩賜庭園なんです」と、藤田さん。

画像提供:株式会社ワントゥーテン
その言葉を聞いて、確かに「ライトアップ」という言葉の響きから、最初に思いつくのは、きらびやかなイルミネーションやプロジェクションマッピングかも? と気づかされます。続けて、藤田さんが「旧芝離宮夜会だからこそ」の魅力を教えてくれました。
「実際、そういった豪華なライトアップを想像されていた方もいらっしゃると思います。
でも、『旧芝離宮夜会』が追求しているのは、夜の文化財庭園の魅力をライトアップ+デジタル・アートを通じて伝えられるか。
例えば、松はどう照らすとより美しく見えるのか、どんな光の当て方なら庭園の魅力を引きたてられるのかなど、東京都公園協会の庭師さんのこだわりと、共催者で総合演出を手掛ける(株)ワントゥーテンさんの感性を掛け合わせた演出になっているんですよ」

さまざまなプロの意見をもとに、ライティングで立派な松がより引き立ちます
旧芝離宮夜会のライトアップは、建物や植栽を輝かしく照らすのではなく、文化財庭園としての魅力をより引き立てるためのライティングと演出。お話をうかがって、旧芝離宮恩賜庭園で開催する意味をぶらさない、こだわりを感じます。
ちなみに、このイベントをきっかけに、旧芝離宮恩賜庭園を認識された方も多いとか。夜会に参加された方が「昼の姿も見てみたい」と、日を改めて足を運ばれることもあるそう。
「ぜひ、昼間の旧芝離宮恩賜庭園もご覧いただきたいですね。やはり庭園なので、その時々で違う表情を楽しめます。2026年の旧芝離宮夜会はお天気が不安定な日も多かったのですが、雨の日は、雨粒で池の水面に動きが出て、より情緒的に見えます」

画像提供:株式会社ワントゥーテン
将来の旧芝離宮夜会、どんな見せ方をしてみたい?
過去の実績をはじめ、毎年さまざまな魅せ方を追求している旧芝離宮夜会ですが、竹芝エリアマネジメントのみなさんに、「どんな夜会ができるといいな、と思いますか?」という質問をしてみました。

旧芝離宮夜会では、お休み処では旧芝離宮恩賜庭園について分かるパネル展示もありました
「実現できるかどうか、ではなく、やってみたい、ですよね?(笑)」と、笑いながら教えてくれた段さんは、「旧芝離宮だけでなく、浜松町・竹芝・芝浦エリア全体を巻き込んでのライトアップなど、大掛かりなことができるとうれしいですよね」と、エリアを巻き込んだイベントを想像。
「竹芝エリアは海も近い水辺なので、水と関係がある見せ方ができると、エリアの親和性も上がりそうですよね。旧芝離宮恩賜庭園も中央には大きな池がありますし、水×ライトアップ、のようなイメージで。庭園の池も、もう少し何かできると面白そうだなと思います」
エリアの特性を活かしたイベント、という観点は、前田さんも同様です。

藤田さんは、「やっぱり旧芝離宮恩賜庭園は、ぐるっと1周してさまざまな角度から楽しむ“回遊式庭園”。夜会でも、昼間のように庭園全体を回遊していただける形にしたいですよね。現在は、どうしても運営の関係で回遊が難しいので……」と、夜会に訪れた方の動線を意識した回答でした。
それぞれ違う目線での理想を伺うと、今後の旧芝離宮夜会も、多角的な観点で企画していただけるんだろうな……と、来年以降に期待してしまいます。
「大前提として、この先も毎年開催して、みなさんの定番のイベントになってほしい気持ちはもちろんありますよね。『夏が近づいてきたから、そろそろ旧芝離宮夜会があるよね』と、認識していただけるイベントとして定着させたいです」
いつでも「プチ夜会」を楽しめる? 竹芝エリアならでは景色
「実は竹芝からお台場まで1周する『TOKYO SEA LIGHT』というクルーズがあるんです。30分程度で気軽に楽しめるのですが、船上から見る浜離宮も素敵です」と、段さん。

浜離宮恩賜庭園はすぐ隣に首都高速道路、その向こうには海という唯一無二ロケーション
「周りはビル群だから明るいのですが、浜離宮の敷地は真っ暗。その明暗のコントラストが、『プチ夜会』みたいな印象で、個人的にすごく好きですね」
「浜松町駅から続く歩行者デッキからも、レインボーブリッジが見えます。黄昏時と言うか、マジックアワーの夕暮れ時に、旧芝離宮を含めた自然の風景と混じりあって、すごくきれいですよ」と教えてくれたのは、前田さん。
日々、都会に身を置いていると、海は少し非日常の存在。藤田さんも「船に乗って、海から浜松町方面を見ると、東京のど真ん中で働いているんだなぁ……と、少しセンチメンタルな気分になっちゃいますよね(笑)」と笑います。
ウォーターズ竹芝の船着き場からは、コンパクトなクルーズを体験できたり、竹芝エリアの最大の魅力である「非日常が日常のすぐ隣にある」を実感できます。
今回の旧芝離宮夜会だけでなく、竹芝エリアマネジメント、浜松町芝大門エリアマネジメント、芝浦エリアマネジメント3エリア共創型のまちづくりとして「芝東京ベイ協議会」としても活動しています。エリア性を活かしたさまざまなイベント情報や、地域の防災情報も配信している公式LINEもあるので、登録してみてはいかがでしょうか?
【旧芝離宮夜会】※2026年のイベントは終了
総合演出:株式会社ワントゥーテン
【旧芝離宮恩賜庭園】
住所:東京都港区海岸1-4-1
時間:9:00~17:00(入園は16:30まで)
休み:年末年始
料金:一般 150円、65歳以上 70円 ※小学生以下及び都内在住・在学の中学生は無料
【Tokyo Cruise Trip】
TOKYO SEA LIGHT/竹芝発→お台場着 乗船料:ひとり 2,000円(税込)

