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再開発が進む港区! 赤坂の街は今後「エンタテインメント」とどう融合するのか?

2025年5月20日

高輪ゲートウェイシティのまちびらきや虎ノ門ヒルズの全面開業をはじめ、再開発が続く港区(実は高輪ゲートウェイシティって、住所は港区なんですよ)。複合施設だけでなく、防災の観点からも、住宅街をはじめ日々都市再開発が行われています。

赤坂もその例外ではありません。現在は三菱地所株式会社と株式会社TBSホールディングスが共同で推進する「赤坂二・六丁目地区開発計画」が進行中。

絶賛工事中! どんなランドマークが登場するのでしょうか?

2028年には東京メトロ「赤坂駅」直結の新しいランドマークが完成する予定で、赤坂駅を中心に近隣の回遊性も高め、「赤坂エンタテインメント・シティ」に昇華させる、というプロジェクトです。

でも、赤坂駅に新しい商業ビルができることで、回遊性を高めるってどういうこと? 赤坂エンタテインメント・シティとは? などなど、いまいちピンとこない部分も……。

分からないなら教えてもらえばいいじゃない!
ということで、突撃取材してきました!

いちばん大切な赤坂の“足元”をどう盛り上げるか?

突撃させていただいたのは、「縁の下の力持ち」的に赤坂エリアの再開発に協力している、仮称Xさん。

「再開発って、そこに新しいランドマークができるだけで終わりと考えるのは、やっぱり少しおこがましい考え方だなと思うんですよ。新しいビルに人が集まって、近隣から見たら“自分たちさえ良ければいい”とも捉えられてしまう可能性がある。
赤坂に来てくれる人たちの入り口は新しいランドマークだったとしても、赤坂の街に足を延ばしてもらって帰る、という動線にしないと、“再開発”とは呼べないんじゃないかな、と思っています」

再開発の話題が出た時にパッと注目を集めるのは、目立つランドマークタワーが主。でも、そんな狭い面積で考えてはいけなくて、敷地外まで足を延ばしてもらうことが大切ということ。

確かに、時代によってランドマーク的な建物は姿を変えるかもしれませんが、「街」という空間は永く残ります。広く長期的な視点で、地域全体が盛り上がらないと、本当の再開発とは言えない、ということですよね。

「これまで赤坂のランドマーク的な存在と地域・商店街が一緒になって赤坂の街を盛り上げる、ということはなかったんです。だから、自分が未開の地にどんどん踏み込んでいる、という感じですね」

赤坂は古くから飲食の街でもあります

そして話の流れから、「普段、赤坂って来ます?」と投げかけられました。

赤坂……最近は取材でよく訪れますが、確かに「今日、赤坂行かない?」とはなりづらい場所なのかも?

「テレビ局(TBS)があるから、そのイベントで来ることはあるかもしれないですよね。でも、映画館があるわけじゃない。飲食店は多いけど、それは新橋も同じです。
だから、エンタテインメント性が必要なんです。たとえば、今の時代に赤坂の料亭文化や芸者文化を増やすことは難しいかもしれない。でも、維持することはできる。昔とは違う方法で継承することはできるんですよ。
地域と一丸になって“赤坂だからこその文化をつくっていこうよ”、というのが、今なんです」

 

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赤坂の街は、古くから料亭などが立ち並び、現在もさまざまなイベントに赤坂芸者が登場する、数少ない街。
確かにイベントなどで芸者さんが目の前を歩く姿なんて、赤坂以外では目にできない光景かも! それが「赤坂だからこその文化」であり、「赤坂エンタテインメント・シティ」にもつながるのか、と納得です。

▼赤坂の一ツ木通り商店街についてはこちらの記事でも紹介しています
飲食、芸事、昼と夜……“七色の顔”を持つ街・赤坂!【赤坂一ツ木通り商店街】

でも、地域の人たちと協力して、とおっしゃいますが……。そんなに簡単にいくもの? と思っていると、「そりゃぁ、いろいろありますよ」とひと言。

「地域で一丸になれるイベントとして、毎年9月中旬に開催される“赤坂氷川祭”とかは分かりやすいですよね。でも、それだけじゃない。手放しで全員が前のめりになれるイベントなんて、なかなかないんです。
だから自分がやっているのは“全方位外交”(笑)」

 

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立場も違えば、年齢も違う多くの地元の方々を巻き込むのは、やっぱり一筋縄ではいかないんですね……。でも、全員に共通しているのは「赤坂をいい街にしたい」という想い。

▼赤坂氷川神社についてはこちらの記事でも紹介しています
【縁結び・厄除】江戸時代の姿を残す赤坂氷川神社を徹底解説!

主役はあくまでも赤坂の街の人!「再開発の中心に仲間がいる」と感じてもらいたい

何度も出てきた印象的な言葉は、「主役は赤坂の街や地元の人」。

「自分たちは企業に勤めている人間なので、乱暴に言うと“赤坂の人”ではないんですよ。別の場所に家があって、赤坂には通っているだけ。
あくまでも再開発の主役は赤坂の街であり、地元の人です」

お話をうかがっていると、この先の赤坂を良くしていきたいという気持ちを強く感じ、地元の方々ともお互い信頼しあえる関係を築いているんだろうなぁ、と手に取るように想像できました。
実際にお話していると、「本音でお話ししてくれているオーラ」をバシバシ感じます。

「昔の開発って、ひとつの大きなランドマークにおんぶにだっこだったことも多いですよね。でもそれだとビルの中の人たちはいいけど、地域を含めた全員がハッピーにならないんです。
外から来てくれた人をどう満足させられるか、リピーターになってもらえるかは、周辺地域と一緒にやらなきゃいけない。だから地域の方々と一緒に、赤坂という街が主役になるように工夫したいんです」

なるほど! でもひと言で「工夫」と言ってもいろいろありそう……。ちょっと考えている雰囲気を素早く察知してくれて、具体例を教えてくれました。

「たとえば、赤坂の街って通りがたくさんあるけど、通りの名前が分かりづらいですよね。一ツ木通りとかみすじ通りとか、絶対に通りの名前を分かってもらった方がいいと思ったんです。
だから勝手にフラッグを作って、地域の方たちに“どのデザインがいい?”と選んでもらい、設置をお願いしたりしましたね。帰りに見てください」

「みすじ通り」の名前がしっかり分かるように!

実はTCSもハリー・ポッターも担当! TBS周辺の地面は全部管轄!?

現在、TBS赤坂ACTシアターで上演している、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』をはじめ、ハリー・ポッターの世界観で埋め尽くされている、赤坂サカスや赤坂Bizタワー周辺。ハリー・ポッターのテーマ曲が流れ、通るたびにウキウキする空間です。

「赤坂Bizタワー周辺で、勝手に好きなことをやってるんです(笑)」

「ドビーは、自由!」

そういえば、先日ご紹介したTokyo Creative Salon 2025も、展示の中心になっていたのは、赤坂Bizタワー。

▼赤坂エリアで開催されたTokyo Creative Salon 2025についてはこちらの記事で紹介しています
赤坂Bizタワーに町内半纏や巨大な山車が出現!? さらに赤坂芸者も練り歩く! 赤坂は古よりクリエイティブな街だった

「Tokyo Creative Salonに協力したのは2回目なんですが、前回はあまり地元とうまく協力できなかったんです。
なので今回は、地域のみなさんと協力して盛り上げる方法を考えました。それが、赤坂氷川祭に登場する氷川山車や町会半纏、芸者さんの着物の展示やパレード。赤坂の街のみなさんも、快く協力してくれて。
赤坂Bizタワーに展示してある氷川山車は、好評だから2025年8月末まで展示延長です」

画像提供:TBS

そう! 実は取材に来る前「どうなってるのかな?」と赤坂Bizタワーに立ち寄ってみたら、いまだに迫力満点の氷川山車が展示してあって「?」となっていたのです(解説のパネルもしっかり展示中)。

確かに、赤坂氷川祭に参加したことがない人がこの氷川山車を目の当りにすると「こんなに壮大な山車が出るお祭りなら、一度見てみたい!」 と、赤坂の街に足を運ぶきっかけになりそう。

ちなみにこの山車は、毎年9月中旬に開催される赤坂氷川祭の最大の見せ場でもある、「神幸祭」に登場します。巡行ルートや詳細の日程は、赤坂氷川神社の公式ウェブサイトなどで告知されるので、忘れずにチェックしましょう。

▼赤坂氷川祭についてはこちらの記事でも紹介しています
【赤坂氷川祭】江戸の祭を蘇らせる! 優美で壮麗な山車と豪壮な宮神輿の競演

「新しいことを企画のは好きだけど、イベントも何も実際に実行してくれるのは、地元である赤坂のみなさん。“アイツが言うならやってやるか”と協力してくれてありがたいですね。
好き勝手言っている自分を受け入れてくれてくれる赤坂の方々には、本当に感謝しています」

これからの季節は、赤坂の通りで近隣の飲食店が出店するお祭りなど、地域が中心になったイベントも開催される予定とか。2025年10月には、赤坂サカスで『赤坂舞台芸術祭』の開催が予定されています。

エンタテインメント・シティになるべく、赤坂の街は、地元商店街や赤坂氷川神社、赤坂サカスなど、多くの方が中心となって、赤坂ならではのイベントを開催しているのです。

「せっかく取材に来てくれたのに、話せることが何もなくて」とおっしゃっていましたが、街の外の人だからこそ、客観的な目線で「全員がハッピーになれる再開発」を考えることができるんだろうな、と痛感。
忖度なく赤坂の街の方とも意見交換ができる関係性を築かれているのが手に取るように分かり、こういった立場の方がいらっしゃることで、独りよがりにならない街の活性化が実現できるのでは? とも感じました。

赤坂芸者という伝統、商店街という小売店の数々、テレビ局というコンテンツもある赤坂の街。この先、さまざまな個性が融合して、赤坂がどんなエンタテインメント・シティになるのか楽しみです!

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