いざまちローディング画面

いざまち

船上から愛でる桜……春を肌で感じるジール社の「目黒川お花見クルーズ」

2024年4月8日

ジール社の大人気コース「お花見クルーズ」を体験

桟橋2

桟橋付近はのぼり旗や桜で飾り付けられ、ひときわ華やいだ雰囲気を演出。自社船舶の1つ「ニフティ52」も係留中

4月1日、世間では新年度が始まる記念すべきこの日に、天王洲アイル駅から徒歩5分の立地にある、「天王洲ヤマツピア」桟橋にお邪魔しました。目的は、ジール社が運航中の「目黒川お花見クルーズ」に参加させていただくため。

花見クルーズを実施する団体・企業は年々増加していますが、以前「港区の港特集」時にうかがった通り、ジール社は他社に先駆けて同企画を開始した、パイオニア的存在なのです。

【港区の港・水上交通編】知られざる水辺の魅力をつくり出す「株式会社ジール」

ジール社のクルーズ企画の中でも、特に大人気の「お花見クルーズ」は、毎年多くのメディアに取り上げられます(4月5日放送の、日本テレビ系列情報番組『ZIP!』でも紹介されていました)。今年の予約開始受付時には、予約が殺到して一時的にサーバーがダウンしてしまったほど。お客さまの熱意に応え、今年のジール社は運航本数を増便した上、桜の開花時期に合わせて4月13日まで開催延長も決定しました。

「天王洲ヤマツピア」は、ジール社が経営する地中海料理レストラン「キャプテンズワーフ」に隣接する、同社の自社桟橋。「キャプテンズワーフ」の入っているビルの脇道を通ると、すぐ目の前が船が発着できる桟橋になっています。今の時期は「お花見クルーズ」の旗や桜の飾りで彩られ、ひときわ華やかになっていました。

「キャプテンズワーフ」では、日本各地の新鮮な食材で旅をイメージした「旅するパスタ」、サラダ、シェフのSPコースやSPデザート、各種ドリンクなどを味わえます。クルーズの前後で立ち寄り、運河の景色を眺めながら美味しいランチやディナーを味わうのも一興です。

(※画像は「キャプテンズワーフ」公式Instagram、「旅するパスタ」第9弾静岡編より。メニューは季節や漁獲量などによって、随時変動する可能性があります)

キャプテンズワーフ
住所:東京都品川区東品川1-39-21

今年スタート! お菓子や飲み物を購入できる売店

花見2

乗船直前でも買い込める! クルーズ中に楽しみたいお酒やジュースも

乗船前に、代表取締役・平野拓身さんが案内してくれたのは、乗船場にほど近いテントの中。「今年から売店も始めました」という言葉に誘われて店内をのぞくと、お菓子や飲み物がズラリと並んでいました。鮮やかなテーブルクロスが、乗船前のワクワクした気分を盛り上げます。

白いカゴに入っているのは「桜あんどら焼き」で、その左の棚には桜餅、右の棚にはくず餅が並んでいます。ほかにも、チョコレートなどの菓子類やビール、サワー、ジュースも購入可能。「クルーズ中につまみたかったのに、コンビニやスーパーで買い忘れてしまった……」なんて方には朗報ですね。

奥の方にはテーブルと椅子があるので、出発を待つまでの間やクルーズ後、ひと時のティータイム(人によってはお酒タイムでも)を楽しめます。今回は桜餅と桜緑茶を実際に味わってみました。

さくらもち

花びらがかわいい桜餅。葉っぱの塩気が甘みを引き立たせます

桜の品種も数多かれど、桜餅を包む葉として使われるのは、大部分は葉に香りのある「大島桜」なのだとか。上にちょこんとのった花弁が、なんとも愛らしい印象です。

余談ですが、桜餅の葉に関しては「食べる派」「残す派」で好みが別れるところ。どちらにせよ、葉っぱからほのかな桜の移り香が感じ取れ、春らしさが口の中いっぱいに広がります。

桜餅と一緒にいただいた「桜緑茶」は、まるでピーチティーのような、ほんのりフレーバーが効いたまろやかで優しい味わい。体が内側からじんわり温まります。

いざお花見クルーズへ!

桟橋から船着場にたどり着くと、これまで見たことのない船が係留していました。増便もある中、お花見クルーズでは、数種類の船が運航中ですが、今回は新しく導入されたという単胴船「月乃舟」で目黒川を散策します。

和の風情を感じる「月乃舟」

新船

和モダンな造りの「月乃舟」に、海外の乗船客も大喜び♪

「月乃舟」も双胴船の「ルーク」同様、屋根がないタイプで外の景色を存分に堪能できます。また、ルークとは違った種類の揺れに強いため、船酔いが心配の方も安心です。コンパクトな外観ながら、船体中央部にお手洗いも備え付いており設備は万全。

紅白の「ルーク」も目立って素敵ですが、木や茶系色を基調にした「月乃舟」は日本情緒を感じる和の印象が強く、お花見という目的にもマッチしています。中央のベンチ席にも座れますが、乗客たちは景色がよく見えるよう、ついつい外周を囲むように配置された、木製のベンチ部分に陣取ってしまうのでした。

朗らかな笑顔のスタッフ皆さんに見送られて出発

花見3

白とブルーが爽やかな「天王洲ヤマツピア」桟橋。「キャプテンズワーフ」の内装も同様のマリンカラーでオシャレ

桟橋にいるスタッフさんたちからお見送りを受け、乗客たちも「行ってきま~す」と手を振り返し、一行は束の間の船旅へと旅立ちます。

安定して船の舵を取る船長さん、目黒川や桜について知り尽くしたガイドさんに案内され、船は穏やかに運河を進みます。

花見3

船長さんは水色、スタッフさんたちはピンク色のスタッフジャンパーを着用

3月に幾度もあった「寒の戻り」。今年の春の訪れは少々遅れ気味で、例年より開花が約10日遅れました。桜も満開にはあと少し……というタイミングでしたが、同じ川沿いでも日光の当たり方は異なるらしく、ところどころで花がほころんだ桜を眺めることができました。

優雅にゆっくり……地上とは違う角度から花見を満喫!

桜1

護岸に垂れ下がるように枝葉をのばす大島桜

桜のシーズンともなれば、地上のお花見スポットはどこも混雑しがち。しかし、お花見クルーズでは、比較的穏やかにゆっくりと、波にたゆたう船から桜を眺めることができます。護岸に垂れ下がる、手が届きそうなほど近い距離の桜を愛でたり、見事な枝ぶりを真下から眺めたり……。地上のお花見とはまた別の楽しみ方があります。

日本の桜と言えば、ソメイヨシノのイメージが強いですが、お花見クルーズ中はほかの品種の以外の桜も鑑賞できます。この日、近距離で花を咲かせていた樹の一本は、花の色がやや白っぽい「大島桜」でした。ほんのり桜色のソメイヨシノや華やかな八重桜も素敵ですが、清楚な雰囲気の大島桜も存在感があり、目を奪われます。

都心の景観と桜並木のコラボ

昼桜

ビルと桜並木が不思議とマッチ

コースは天王洲アイルから目黒川水門を抜け、京浜急行新馬場駅、JR大崎駅、五反田駅、目黒駅方面へと目黒川を進みます。新しい高層ビル群の中で、咲き誇る伝統の桜並木――そのコラボレーションもまた、都心らしい光景と言えます。

目黒川の花見の始まり

花見1

目黒川沿いに桜が植えられたのには理由がありました

都内でも有数のお花見スポットである目黒川。満開を迎える時期は、壮観の桜並木を形づくります。ソメイヨシノをはじめとしたその数は、なんと約830本! どういった経緯でその規模のお花見スポットが誕生したのか、ガイドさんが解説してくれました。

元々、目黒川沿いの桜は、昭和初期に護岸工事を行った際、地域の人々が土手に桜を植えたのが始まりなのだそう。やがて花が咲く頃、その美しさに惹かれ、人々が集まってくるように。それが目黒川の「花見」の始まりとなり、以来、目黒川の路傍には桜の木を植えるようになったのでした。

しかし、当然のことながら、すべての生物と等しく、桜にも寿命はやって来ます。寿命を迎えた桜の木は、随時植え替えられているそう。美しく咲き誇っている目黒川沿いの桜は、昭和時代から命のバトンを受け継いでいたのです。

満開時の目黒川では絶景が広がる!

桜2

満開時には、川の両側からこぼれるばかりの桜が!

体験した日はあいにく、桜の満開には少々早かったものの、見頃を迎えたお花見クルーズはなんとも絶景です。毎年、何度も参加するリピーターが多いのも納得です。過去の模様は、ジール社の公式お花見クルーズページ公式Instagram目黒川クルーズ専用のInstagramなどで確認できるので、ぜひチェックしてみてください。

クルーズならではの魅力「花筏」

さくら

(画像:「ジール」公式Instagramより 撮影/K.M様)

花の命は儚いもの。風に舞い、散ってゆく桜を見ると、「もう少し満開の姿を見たかった……」と、少々寂しさを感じてしまう方も多いのではないでしょうか。

しかし、船から桜を眺めるお花見クルーズだからこそ、花が散り始めた後も桜を堪能できます!

桜の花びらが水面に降り積もる光景は「花筏」(はないかだ)と呼ばれ、その美しさは圧巻。淡いピンクのカーペットを敷き詰めたような水面を船で進むさまは、一年の間でほんの限られた時期だけ目にできる貴重な光景です。

桜2

(画像:「ジール」公式Instagramより 撮影/野澤様)

「花筏」を別の角度から見るとこんな感じです。水面が見えないほど、桜の花びらでびっしりと覆い尽くされています! その花弁をかき分けて船で進むのは、なんとも風流で粋な遊びです。

夜間のライトアップ時も艶やか

夜桜

(画像:「ジール」公式Instagramより 撮影/野澤様)

「お花見クルーズ」は、昼間だけでなく夜間も運航中。ライトアップで照らされた桜は、昼間とはまた違う表情を見せ、ぐっと艶やかな魅力が増します。

今年は、クルーズ中に見える「五反田ふれあい水辺広場」でも、ライトアップを開催中です(「五反田ふれあい水辺広場」のライトアップは4月14日まで)。

個性的な橋にも注目!

「お花見クルーズの魅力は桜はもちろんのこと、たくさんの橋をくぐり抜ける楽しさもあります」と語ってくれた平野さん。目黒川お花見クルーズでは、なんと13以上の橋をくぐって進みます。個性的な外観やイラストを持つ橋も多く、「こんな橋があったんだ!」という驚きも味わえます。

恐竜の絵が描かれた「要津橋」

栗津橋

なぜ恐竜!? 独特の世界観に驚かされる要津橋

橋になぜか恐竜のイラストが描かれているのは、要津橋。姿形からして、肉食恐竜のイメージが漂います。

実はこの橋の近くには、有料子供専用野球場と遊戯ゾーンからなる「子供の森公園」があるからなのだそう。遊戯ゾーンには8体の恐竜像が置かれており、通称「かいじゅう公園」と、子供たちから呼ばれて親しまれています。

恐竜

要津橋近くにある、恐竜の模型が並ぶ子供の森公園

黄色や緑、青などカラフルな恐竜たちを見ると、お子様だけなく大人たちも心が和みそうですね。

クジラづくし!? の「アイル橋」

栗津橋

「アイル橋」全景。橋名の右横にはクジラのマークが付いています

天王洲付近に船が進むと、全体的にクジラのモチーフが目立ちます。目黒川水門や「アイル橋」にはクジラが描かれ、その傍にある「東品川海上公園」には、クジラをかたどった大きな滑り台が。

公園

中央にある白い建造物が、クジラをかたどった滑り台。船上からも独特の形が目立ちます

これほどまでにクジラがモチーフになったいわれは、江戸時代天王洲にクジラが流れ着いた事件(「寛政の鯨」)だと、ガイドさんが顛末を語ってくれました。

寛政10年(1798年)、暴風雨で1頭のクジラが品川沖に迷い込みました。近隣地域の漁師たちは船を出し、このクジラを天王洲に追い込んで捕獲したそうです。大きさは体長約16~17メートル、高さ約2メートルほどだったと伝えられています。

時の11台将軍・徳川家斉もこの話に興味を抱き、見たいと所望したため、クジラは縄を付けられ、船で浜御殿(現在の浜離宮恩賜公園)まで運ばれました。

水門

クジラが跳ねる様子を描いた目黒川水門

その後、クジラは残念ながら息を引き取ったそうですが、後世に語り継がれてモチーフにされるほど、人々に衝撃を与えました。

この「寛政の鯨」事件は、「享保の象(ゾウ)」・「文政の駱駝(ラクダ)」とともに、「江戸時代の人々が驚いた三大動物」の1つとして伝承されています。

何度でもリピートしたい! お花見クルーズ

花いかだ

(画像:「ジール」公式Instagramより 撮影/野澤様)

株式会社ジールのお花見クルーズは、優雅にゆっくりとお花見を堪能できる、贅沢なひと時です。

花の咲き始め、満開時、散り際と、桜の開花時期によって違った眺めを楽しめるのも船上クルーズの魅力です。特に水面が花びらで埋め尽くされる「花筏」は、ぜひ一度は目にしたい光景。同じコースでも、昼間と夜間で、桜はまったく異なる表情を見せてくれます。

歩いてのお花見、みんなでワイワイ騒いでのお花見も楽しいですが、たまには趣向を変えて、船上から桜を愛でるのもいい想い出となります。春の風や花の匂いを肌で感じられるお花見クルーズも、ぜひ一度ご検討ください。

株式会社ジール
本社住所:東京都港区海岸3-33-17 東京ベイサイドビル2階

前の記事

お菓子の歴史と未来の架け橋となる「虎屋文庫」とは(2)

次の記事

【八芳園】桜シーズンはまだ終わっていない!八芳園の桜は4月中旬まで見ごろです!