
太鼓で届ける大和魂「源流芝太鼓連」――観客を巻き込むパフォーマンスの裏側に迫る
盆踊りやお囃子に欠かせない和太鼓。心地よいリズムと迫力満点の音色を響かせる日本の伝統楽器です。そんな和太鼓の魅力を広めるべく、港区芝を拠点に演奏活動を行う和太鼓団体にお話を伺いました。我々が以前取材に訪れた「みなと区民まつり」など港区の代表的なイベントにも出演されている団体です。
取材にご対応いただいたのは、「源流芝太鼓連(げんりゅうしばたいこれん)」の代表、はたの よしみさん。芝浦港南区民センターで行われる年内最後の練習前に、インタビューをさせていただきました。
仕事帰りや育児のすき間時間に
太鼓を叩いてリフレッシュ!
実は、いざまちXアカウント「いざまち編集部@新橋・麻布・赤坂・高輪 港区情報サイト」でも、「源流芝太鼓連」さんをフォローさせていただいており、Instagramの投稿なども拝見していました。女性メンバーが生き生きと太鼓を叩く様子が、特に印象に残っています。
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源流芝太鼓連はどのように結成されたのでしょうか。
「芝五丁目に住み、商売を営んでいた氏田尚克(うじた ひさかつ)先生により、昭和56年(1981)に結成されました。先生には3人の息子さんがいて、そのうち2人が太鼓をやっていたそうです。以前は、息子さんやご近所の方と一緒に活動していたと聞いています。
しかし、当時会計を担当していた女性が退団することをきっかけに、代わりに新たなメンバーを集めようということになったそうです。私はそのタイミングにOL向けのフリーペーパーで弊団体の募集記事を見つけ入団しました。同期として女性10人、男性が数名入り、和気あいあいと練習をしていたのを覚えています」
練習は月に2回、平日の夜19:00~21:00に行われています。仕事終わりに会場へ向かったり、予定が重なったりした場合には、練習の途中から参加するのもOK。現在は20~30代の会社員の方を中心に、主婦や学生など15名ほどで活動されています。
「私が入団したころは、妊娠や出産を機に太鼓をやめてしまう方が多かったのですが、最近は臨月まで続けてその後休会する方もいらっしゃいます。太鼓を叩くことで体幹が鍛えられますし、体力づくりにもなるので、安産につながっているのかもしれません。ママさんメンバーからは『子育てのリフレッシュになる』という声もあります」
普段は音楽関係のお仕事をされている、はたのさん。二足の草鞋で和太鼓の演奏を続けてこられました。2024年元旦には源流芝太鼓連のInstagramを、2025年11月からはXアカウントを開設し、情報発信にも精を入れています。
「最近はママさんメンバーが頑張っているため、同じように港区に住む主婦の方に私たちの活動を知ってもらいたいと思いました。ストレス発散や趣味探しなど、始める理由はなんでもウェルカムです!『Instagramだけを使っている』『Facebookしか見ていない』という方もいらっしゃると思い、宣伝もかねて各SNSを更新しています」

芝浦港南区民センターでの練習の様子。太鼓に触れながら楽しく汗を流せます。
画像提供:源流芝太鼓連
和太鼓の可能性は無限大!?
コラボパフォーマンスが生み出す化学反応
源流芝太鼓連では、10月の三連休に開催される「みなと区民祭り」と「スポーツ祭り」に三日間連続で出演しているそう。昨年から出演している区民祭りでは、夕方から行われる盆踊りを和太鼓の演奏で盛り上げています。
区内イベントのほか、埼玉県和光市や浅草などの区外イベントに参加する機会もあるとのこと。
「私たちは『NPO法人東京都太鼓連合』に所属しており、3年に一度くらい、区外のイベントに参加することもあります。NPOのイベントには、東京都内のプロ団体も参加しており、プロのパフォーマンスを間近で見られるのも、メンバーにとって良い刺激になっています」
数多くのイベントを経験し、メンバーの指導を続けながら代表を務めて15年、はたのさんが地域イベントや和太鼓活動について感じていることを伺いました。
「時代の変化にあわせてルールや決まり事が細かくなったように感じます。騒音をきっかけに廃止されてしまった盆踊りもありました。ただ、地域のルールが厳しくなるなかでも、以前より幅広いジャンルのイベントが行われるようになってきています。昔はお祭りでいうと、お囃子やお神輿、盆踊りなどが主流だったと思うのですが、港区の人口増加が影響しているのか、イベントの多様性を実感するようになりました。和太鼓団体としても、少し変わった内容でのご依頼が増えています」
その“変わった依頼”というのは?
「和太鼓といえば、みなさん、太鼓で曲を披露したり、盆踊りのように音楽に合わせて叩くイメージが強いと思いますが、最近出演した将棋のイベントでは『駒が動く時の効果音を出す』という、異例な形での出演でした(笑)」
そのイベントというのは、2025年11月の「人間将棋in新橋SL広場」。「人間将棋」とは、人間を駒に見立て将棋を指す催しです。このアイデアは、豊臣秀吉が伏見城で小姓(武将の身の回りの雑用を務める役、少年が多い)や腰元(貴人に仕える女性の使用人)たちを将棋の駒に見立て、屋外で将棋を楽しんだという故事に由来しています。
山形県天童市で毎年4月に開催される「天童桜まつり」の目玉イベントとして知られ、兵庫県姫路市や岐阜県関ケ原町など、ほかの地域でも開催されているのだとか。
今回、新橋で人間将棋が開催された背景には、新橋駅前のニュー新橋ビル商店連合会が主催する「大盤将棋大会」の存在があります。毎年4月から10月末まで毎週土曜日に行われている、誰でも無料で将棋を楽しめるイベントです。今年は50周年を記念して「人間将棋」の本場・山形天童市の協力のもと実施することとなりました。

山形県天童市広報写真ライブラリーより『天童桜まつり人間将棋2』
「当日は、早稲田大学の将棋部の学生さんが駒役になり、磯谷祐維女流初段と田中沙紀女流一級が対局していました。私たちは駒役が動くたびに当団のオリジナル曲を10秒ずつに分けて演奏する、貴重な体験ができました。ほかにも、赤坂にある“草月ホール”でバイオリンやフルートなどの洋楽器とコラボレーションした演奏や、森美術館に展示された映像作品とのコラボパフォーマンスなど面白い経験もさせていただきました。私たちは日々楽しみながら、さまざまな表現に挑戦しています」

「人間将棋in新橋SL広場」にて。人間将棋は戦場を模した将棋盤の上で、女流棋士の指揮により人間の駒が動く、ユニークな催しです。
画像提供:源流芝太鼓連
活動の様子を拝見するなかで、外国人メンバーの存在にも気づきました。加入による変化はありますか?
「和太鼓は日本文化を象徴する打楽器ですので、外国の方がかっこよく演奏すると、より大きなインパクトや感動を与えられると思います。演奏後に外国人メンバーに声をかけてくださる方もいます。また、日本人は演奏中や練習中に恥ずかしがることも多いですが、外国人メンバーは太鼓に慣れてくるとストレートに表現してくれるので、パフォーマンス面でメンバーによい影響を与えてくれていると感じています」
和太鼓を通じて日本文化を発信すると同時に、外国人メンバーの表現力という強みを取り入れ、団体として表現の幅も広がっていることが伝わってきます。

数年前から参加している「MINATOシティハーフマラソン」応援盆踊りでのワンシーン。 画像提供:源流芝太鼓連

踊り手に合わせて法被を身にまとい、思い思いの被り物を着けて太鼓を叩きます。 画像提供:源流芝太鼓連
パフォーマーの熱量と迫力に心震わせる
ライブならではの空気感を味わって
インタビューの最後に、地域や次の世代へ伝えたい思いを語っていただきました。
「今はサブスクを利用すれば、自宅で好きな音楽がいくらでも楽しめるじゃないですか。そんな便利な時代だからこそ、会場に来てくれた方に対して一生懸命パフォーマンスをして『時間と場所を共有する』ことが重要だと思います。コロナ禍でライブ活動が止まった経験もあり、生演奏で同じ空気感を味わうことの大切さを実感しました。ネット上ではなく、地面の上で演奏することで、大地のパワーやエネルギーも高まり地域も活性化すると思います。ぜひ会場で、和太鼓のライブ演奏の迫力を体感してほしいです」
地域団体が後継者不足に悩むなか、予想外のコラボレーションで和太鼓の新たな魅力を引き出す「源流芝太鼓連」の活躍に驚かされました。そして何よりも、「演奏活動を次世代につなげたい」という強い思いが伝わるインタビューとなりました。これから、地域のお祭りで耳にする和太鼓の音の感じ方も変わっていきそうです。
はたのさん率いる「源流芝太鼓連」は、2月23日に開催される「MINATOお台場駅伝大会2026」にも出演を予定しています。エネルギッシュな演奏を楽しみながら、ランナーたちの応援に足を運んでみてはいかがでしょうか。

「みなと太鼓打悠会」の代表も務めるはたのさん。和太鼓への愛が、ひしひしと感じられました。
【源流芝太鼓連】
各種イベントや盆踊りの盆太鼓、応援企画、演奏依頼はHPの問い合わせフォームまで。
入会に関してはご経験と年齢をお知らせください。
初心者の方でも大歓迎です!

