
区民によるマルシェが初開催! 「みなとの運河マルシェ」とは?
2025年11月に、芝浦アイランドを望む水辺の遊歩道で、「みなとの運河マルシェ」が開催されました。
港区内のイベントとして、マルシェは珍しくない昨今。このイベントの注目ポイントは、完全な住民主導のソーシャルマルシェという点です。
どんな方々が、どんな目的で開催したのでしょうか? イベントを取材しました。
絶景スポットでマルシェが初開催!
みなとの運河マルシェは、2025年11月21・22日に、芝浦西運河沿緑地で開催されました。
芝浦にお住まいの方でないとなかなかピンとこない場所なのでご説明すると、田町駅芝浦口から徒歩約15分の地点です。
芝浦アイランドから見て運河を挟んだ西の対岸にあたり、港区の隠れ名スポット・渚橋と東京モノレールを同時に見ることができる絶景スポットでもあります。
当初、同じ場所で2025年10月に開催予定でしたが、雨天のため中止に。第2回として予定していた11月開催が初開催となりました。
取材も含め晴天に恵まれ、綺麗な夕焼けとともにマルシェがオープン。
初日の21日(金)は2つの出店があり、浜松町の「GIFT SHOP-港-」さんと、事務局が運営する飲食物販売「売店みなと」の出店でした。
MINATOさんは店舗で人気だという、金属アレルギーの方にもうれしい腕時計用木製バンドを中心に、様々な商品を販売していました。
また、2日目にはもう一店、「出張飲食 -つる子-」さんも出店。
事務局が運営する売店みなとでは、港区ゆかりの企業・森永製菓さんのおっとっととリターナル瓶の飲み物を販売しました、これは運河のマイクロプラスチック問題を考えようという取り組みで、繰り返し使えるガラスびんであるリターナル瓶についての周知もしていました。
会場には目を引く提灯が掲げられており、これは開催に際してクラウドファンディングや協賛された方の名前やメッセージが記されているとのこと。
周辺にお住まいの方が通る夕凪橋からよく見える場所に設置されており、近くを通りがかった方々が「なんだろう?」と、気になって訪れるきっかけとなっていました。
完全に日が沈むと、渚橋のライトアップが運河に映り、通過するモノレールとともに幻想的な風景に!
日没後は、家族連れを中心に通りがかった方々が会場に途切れることなく訪れており、集まった方々の間でおしゃべりが弾んでいました。
なぜマルシェを? イベント開催の理由を聞いてみた
なぜ、マルシェを開こうと思ったのでしょうか? イベントの主催者の一人、斎藤正信さんにお話をうかがいました。
「マルシェ開催のきっかけとなったのは、2022年の『港区基本計画 芝浦港南地区版計画書』です。区の各地域の課題について、住民からの意見を提言していくものです。その後、有志が集まり、『東京みなとの運河水辺を考える会』という勉強会を開きました」
住民の皆さんからは、具体的にどのような課題が挙がったのでしょうか。
「住民としては、運河周辺が閑散としていることと、運河の臭いが気になるということです」
臭いの原因については、下水の排除方法には「合流式下水道」と「分流式下水道」があり、大半の箇所が合流式下水道のままとなっています。通常は下水処理場で処理されますが、大雨などが発生すると市街地の浸水を防ぐために河川や運河に処理しきれない汚水が放流されています。そのため、汚水の流入によって河川下流や運河は水質が悪化しており、東京都や沿岸部を中心とした各区は対策に取り組んでいる最中です。
「『考える会』で意見を出し合った結果、周辺地域の事例を参考に、ソーシャルマルシェを選択しました」
ソーシャルマルシェを選定したのは、住民の方々で集まることで、運河の水質など運河沿いのエリアが抱える問題を井戸端会議のように話していき、運河が抱える課題を考える気運が醸成されていくきっかけになれば、という理由でした。
「ソーシャルマルシェに決まったあとは、去年の夏から場所探しを始めました。最初はもっと田町駅寄りの場所なども検討したのですが、モデルとした『隅田川マルシェ』の実行委員長から『人の往来を邪魔しないところで、景色のいい場所を選べ』というアドバイスをもらい、この場所に決めました」
場所が決まったものの、会場の芝浦西運河沿緑地は東京都港湾局所有で港区が管理している場所。色々な苦労があったといいます。
「運河沿いの民間の使用許可は前例がないということでした。担当の港区協働推進課の方々にかけあって、許可などの準備を進めていきました。あくまで住民同士の交流が目的となっています」
実際、取材していると集まってきた周辺にお住まいの方々が一緒におしゃべりに興じる場面もあり、「運河の課題について話し合う雰囲気づくり」という斎藤さんの目論見が的中していました。
継続的な開催で地域に定着を目指す
様々な苦労もあったなか、今回初開催にこぎつけた「みなとの運河マルシェ」ですが、今後はどのような活動を予定されているのでしょうか。
「定期的開催でないと意味がないイベントだと思っています。来年は2~3か月間隔での開催を目指しています」
来年の開催に向け、会場に掲げる協賛提灯に名前や団体名が入る支援者の募集とともに、出店者も募集しているとのことです。

※協賛提灯および出店者の募集については、みなとの運河マルシェ実行委員会のフェイスブック(https://www.facebook.com/61579635574852)またはインスタグラム(https://www.instagram.com/minatonoungamarche/)をご覧ください。
協賛すると名入り提灯が掲げられるというのは、神社のお祭りなどで馴染みのある方法ですが、マルシェでは珍しいことではないでしょうか。個人的には、日没後に浮かび上がってくる姿を見ると満たされるものがあるように思います。
今回が初開催ということで、始まったばかりの取り組み。
芝浦にお住まいの方々自身が作り上げていくイベントということで、今後も注目していきたい取り組みでした。

