【港区のミュージアム】港区唯一の科学館!身近な科学を気軽に学べる「みなと科学館」とは?
港区の虎ノ門にあるみなと科学館。都心部では貴重な科学館の一つで、虎ノ門ヒルズや愛宕神社にも近い場所にあります。
みなと科学館は、港区内の広義の「ミュージアム」を取り上げている「いざまち」でも、注目していた施設。そんな中、みなと科学館で「年の一度の科学のお祭り」を今年も開催すると聞き、取材させていただきました!
テーマを通じて身近な科学を学べる施設
港区立みなと科学館は、港区虎ノ門にある港区初の科学館で、2020年6月にオープンしました。
気象庁や港区立教育センターが入る総合庁舎の1階にある施設で、気象科学館も同じく2階にあります。
この場所に開館することになったきっかけは、2020年に気象庁が移転するため、新庁舎が建設されたこと。
新庁舎の前は、ここは「港区立鞆絵小学校」の跡地でした。小学校は統合に伴い1991年に閉校していましたが、時をこえて再び子どもたちが集まる場所になっています。
みなと科学館は、「まちと共に人々の成長を支える科学館」をコンセプトに、子どもを中心とする幅広い層に対してまちに息づく科学の発見と探求を学べる施設になっています。施設は2階部分まであり、1階は常設展示エリア、ワークショップなどを行う実験室、多目的ロビーで構成されています。
常設展示エリアは、「しぜん」、「まち」、「わたし」、「うみ」のブースに分かれていて、「港区のしぜん」のように港区におけるそれぞれのテーマを通じて、身近な科学について学ぶことができます。
ブースには体験型の展示が複数あり、お子さんと一緒に楽しみながらの学びが得られることが特徴です。
なお、企画展も行っており、様々なテーマについて多目的ロビーを中心としたスペースで展示が行われ、常設展示といっしょに楽しむことができます。
2階にはプラネタリウムがあり、定期的に変更されるプログラムを楽しめます。

画像提供:みなと科学館
特徴的なのは、都心部という立地を生かした大人向けのプログラムも用意してあること。オフィス退勤後にプラネタリウムを楽しむこともできる19時開始のプラネタリウムや、平日12時台に星空を眺めながら、リラックスしたひとときを過ごすことができる大好評の「おひるのプラネタリウム」といったプログラムがあります。
施設の入場料は無料。プラネタリウムの観覧は有料(※「おひるのプラネタリウム」のみ無料)になっているので、展示を見に気軽に訪問し、もっと楽しみたい! と思ったらプラネタリウムを観覧してみるのもいいでしょう。
お子さんが中心ですが、様々な人が身近な科学について学べるようになっている施設です。
「みなとサイエンスフェスタ」注目のブースを紹介!
みなと科学館では毎年3月、年に一度の科学のお祭り「みなとサイエンスフェスタ」を開催しています。
2021年から毎年開催されているイベントで、今年で4回目を迎えます。
企画展との違いは、日々の暮らしを支える、科学技術を持った様々な企業が直接ブースとして出展していること。

みなと科学館2025開催時の様子
たくさんの企業がブースを出展されているようですが、そのブースはどうやって選ばれているのでしょうか?
みなと科学館広報の方にうかがったところ、港区に本社や活動拠点を置かれている企業や団体を基本として広くお声がけしているということでした。
みなとサイエンスフェスタ2025には様々な企業が出展していましたが、今回は「いざまち」編集部が注目したのは、一般の方々に向けた商品を発売しているわけではないので知名度こそ高くはありませんが、わたしたちの生活を支える確かな技術を持っている企業さんたちのブースです。
各ブース、お子さんなどが身近な科学技術を体感できる、様々な体験型の展示を出展していました。ブースごとにご紹介します!
・ミネベアミツミさん
汐留に東京本部がある、精密機器メーカーです。
機械加工品から電子機器、半導体まで製造しているメーカーですが、航空機向けの複雑な構造かつ過酷な環境で用いられるベアリングも得意としています。
今回出展していたブースはその「ベアリング」にフォーカスした内容になっていました。
お子さんに大人気だったのが、ミネベアミツミ製ベアリングが使われた「ハンドスピナー」を何分回し続けていられるかという展示。
これはミネベアミツミさんが、ミネベアミツミ製ベアリングを使用したハンドスピナーを、2018年に指の上で24分間回転し続けるという世界最高回転記録を樹立したことにも関連しているようです。この記録を打ち立てた、販売価格数万円するというハンドスピナーも展示されていました。

記録を打ち立てたハンドスピナー(※現在販売はしていないとのことでした)
ハンドスピナーを回す体験は、取材当日でもすでに2分以上を記録したお子さんがいるなど、ベアリングの精密さを体感できるものになっていました。
もう一点注目の展示は、航空機などにも用いられている「航空機用ベアリング」のパズル。
これは実物のベアリングのパーツを模したパズルを3Dプリンターで制作したもので、バラバラになった状態からの組み立てを通じて、「航空機用ベアリング」の構造を体感できるようになっています。
・日本ボイラ協会さん
たくさんのお子さんが絶え間なく訪れていたのが、新橋に本部がある日本ボイラ協会さん。
日本ボイラ協会さんは、ボイラや圧力容器を製造する会社と事業で用いている会社を協会員とした組織です。
協会として、ボイラや圧力容器の検査や講習などを行っており、病院やホテルを中心に建物内にボイラがある施設が多数ある港区にとっては欠かせない存在といえます。
今回ボイラ協会さんが出展していたのが、そのボイラの検査を模したゲーム。
塩ビパイプをボイラの配管に見立てて、内部に隠れている動物のシールを実際の検査機器で探し出すという内容になっています。
検査機器は人体用の「内視鏡」に近いもので、先端にカメラとライトがついた先端部をコントローラーで可動させることで、入り組んだ配管の中でもモニタに検査部分を映し出すことができます。

右手前から曲がってカメラを入れた様子
編集部で実際にコントローラーを使った操作を体験してみましたが、段差に引っかかってしまったり、意外と難しい!
そんな中、お子さんたちは器用に先端部を操作し、動物を見つけていました。
・マクセルさん
最後にご紹介するのが、品川駅港南エリアに東京本社があるマクセルさん。
「マクセル アクアパーク品川」などで港区にお住まいの方々にとってもおなじみの、電池や光学部品、産業用部品などにおける日本を代表する企業です。
現在マクセルさんは、これまで培ってきた技術を、「アナログコア技術」として定義し、新製品や素材の開発に活かしています。「アナログコア技術」とは、「まぜる」「ぬる」「かためる」といった素材加工に関する技術です。
ブースではそれらを活かした新技術・素材が展示されていました。
一つ目は「空中ディスプレイ(AFID)」、空中に液晶モニタの表示を投影し、モーションセンサーによってタッチパネルのような操作も可能になっています。非接触という利点を活かし、飲食店から医療現場まで活用が見込まれる技術です。会場ではモーションセンサーと併用した、ちょっとしたゲームが楽しめるようになっていました。
二点目が全固体電池で、現在主流のリチウムイオン電池と比べて発火の可能性が低いなど、様々な製品への活用が見込まれています。
興味深かったのが三点目の「ポリカーボネート発泡シート」です。これはポリカーボネートの表層はそのままに内側のみを発泡させる技術によって、同じ厚みのポリカーボネートに比べて強度と軽量性にすぐれ、さらに素材の使用量も削減できるというものです。
実際に触らせていただきましたが、持ってみると非常に軽い! にもかかわらず表面は硬く、車のボディの一部にも使用することを想定しているというお話も納得でした。
大人も子どもも気軽に楽しめる施設
今回、2025年3月に行われた「みなとサイエンスフェスタ2025」の模様を通じて、「みなと科学館」をご紹介させていただきました。
都会の中の科学館ということで、日常の暮らしと科学の結びつきを感じられる常設展示や企画展、都会にいることを忘れるようなプラネタリウムなど、入場無料とは思えない時間を過ごせる施設になっています。
お子さんと一緒に訪れて、体験型の展示を楽しむと同時に、日々の生活を支えているのは様々な科学技術と、それを生かす企業の機器や製品があってこそだと、大人の方でも実感できる場面が多いと思います。
季節ごとなどに開催される企画展や、プラネタリウムのお子さん向けの投影内容は定期的に入れ替わりますので、港区にお住まいの方は訪れるたびに異なる体験ができます。
また、近くにお勤めの方は、お仕事の合間にリラックスできるプラネタリウムの投影も楽しんでみてもいいでしょう。
同じ建物の気象科学館とともに、虎ノ門エリアで天気に関わらず楽しめる貴重な施設。気軽に訪れてみてはいかがでしょうか!
【みなと科学館】
住所:東京都港区虎ノ門3-6-9 1F・2F
アクセス:東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ駅」A2a出口より徒歩4分、「神谷町駅」4b出口より徒歩5分、銀座線「虎ノ門駅」2a出口より徒歩10分
※専用駐車場はありません
入館料:無料(※プラネタリウム観覧料:大人一般600円、小学生・中学生・高校生一般100円)