【新橋駅】いよいよ今週末開催の新橋こいち祭!ところで、新橋こいち祭って何?【新橋こいち祭】
2024年7月25日(木)~26日(金)にかけて。新橋駅前のSL広場側を中心に、「第27回新橋こいち祭」が開催されます。新橋駅界隈で働く方はもちろん、港区民にとってもお馴染みの大規模なお祭りです。新橋駅前という立地を生かし、さまざまな屋台が出展し、食べて飲んで踊って……と、毎年大層盛り上がっています。
コロナ禍を挟んだものの、今年で第27回だそうです。もう30年近く続いているということですね。
と、ここでふと疑問が浮かびました。
「飲みに行ったことはあるけれど、近隣の神社が中心という感じもないし……そもそも、こいち祭って、どういうお祭りなの?」
ということで、新橋こいち祭委員会へ、新橋こいち祭誕生の経緯を伺いに行ってきました!
かつて開催されていた「新橋祭り」を復活させようと地元の有志が立ち上がる
お祭りの準備でお忙しいなか取材にご対応いただいたのは、新橋こいち祭委員会委員長の長尾哲治さん。
「いまから30年以上前。新橋こいち祭ほど大きなお祭りではなかったのですが、“新橋祭り”というイベントを駅前のSL広場でやっていたのです」
最初に、新橋こいち祭が始まった経緯を伺ったところ、長尾さんはこのように切り出しました。
元々、新橋駅前では、駅前の複数の町会や商店会が共同で主催となって行う、新橋祭りという地元のお祭りがあったのだそうです。ですが、35年ほど前に突然そのお祭りがなくなってしまいました。なぜなくなってしまったのか。長尾さんも当時の理由はよくわからないのだそうです。
新橋祭りがなくなったとはいえ、自分たちの楽しみであるお祭りまでなくすわけにはいかず、それからしばらくの間、各町会が、自分たちで小さなお祭りを続けていたとのことです。ですが、ひとつの町会だけで開催するお祭りでは、規模に限界もあります。
やがて住民らを中心に「かつての新橋祭りのような大きなお祭りが欲しいね」という声が上がってきました。
そこで1995年、新橋駅周辺の町会・商店会が再び共同で新しい祭りをつくろうということになったのです。
「復活させるにあたって、自分たちの手でつくる新たなお祭りということで祭りの名前も一般公募で決めようということになりました。ニュー新橋ビルの入り口に投票箱を設置したりしましたよ。そうやって新橋に関わる方々の意見を集約した結果、“小一時間新橋で遊んで行ってください”という願いを込めてこいち祭と命名しました。新橋こいち祭は、新橋に住む人、働く人、遊ぶ人のお祭りです。全ての新橋に関わる方々に楽しんでもらうというコンセプトで、現在まで続いております」
これだけ大規模なお祭りなのに、元を辿ると、いわゆる町のお祭りだったというのは意外でした。今年も17の町会と12の商店会で、新橋を盛り上げるために手を取り合って準備を進めているのだそうです。
準備は一年がかり。全国から応募者が殺到する”ゆかた美人コンテスト”
新橋という場所のよさもあり、新橋こいち祭の規模はどんどん大きくなっていきました。現在では、2日間の開催で14万人近く訪れる区内有数のイベントへと成長したそうです。その規模の大きさを実感するのが名物の「ゆかた美人コンテスト」です。
長尾さんによると、
「ゆかた美人コンテストは、人気企画です。美人コンテストと銘打っていますが、女性しか応募できないということはありません。全国から年齢、性別問わずご応募いただけます。そのため下は小学生から上は50歳超えた方、男性の応募もあり、ファイナリストになったこともあります」
とのことです。
受賞者の中には、地方局のアナウンサーとして活躍されている方も何人もおり、そのことも参加者の増加を招いているのではと推測されていました。
毎年多くの応募があり、書類審査が行われ、ファイナリスト8名に選ぶために事前の面接審査なども行っているのだとか。選考を行うのは本当に大変そうでした。ちなみに、今年のゆかた美人コンテストのファイナリスト8名は、桜田公園に設置される盆踊りのやぐらの上から最終アピールを行うそうです。
コロナ禍で祭りが忘れられかけた恐怖
全国的な知名度を獲得している新橋こいち祭ですが、2020年ごろから始まった新型コロナウィルス感染症の流行の間は、当然開催できませんでした。
2020年と2022年の2回が中止となったそうです(2021年はWEB開催)。委員会の皆さんは、2回の中止(計4年)で、祭りの存在が忘れられたような不安を感じたといいます。
「祭りを再開することが決まり、役所や警察などへご挨拶に行って驚きました。公務員の方々は3年で異動があるじゃないですか。なので新しく担当となった方に、新橋こいち祭のことが、引継がれていなかったのです。毎回ご協力をして下さっていた企業にご挨拶へ行ったときにも似たようなことがありました」
と、長尾さん。2回(計4年)の中止で、関係団体がこうなってしまうのなら、一般のお客様はどの程度覚えてくれているのだろうか。コロナ禍を境として、”宅飲み”という文化が根付いたこともこの恐怖に拍車をかけたそうです。
こうした心配は杞憂に終わり、昨年も盛況のうちに終了したたそうですが、それでも、これからの新橋こいち祭にとって、新たな課題が生まれたそうです。
「意外かもしれませんが、新橋には現在500~600人近い方が住んでいらっしゃいます。マンションなどもできたため新しい住民の方が増えています。新橋エリア全体が一体になれるイベントというのは、現在、新橋こいち祭くらいしかありません。だからこそ、新橋に暮らす方、利用される方、商売をされている方全ての方が楽しんでいただける本イベントを、決して忘れられないくらいもっともっと盛り上げていく必要があると思っています。みんなが新橋の街を楽しんでいただけるお祭りを開催しますので、当日は是非、ふらりとお立ち寄りください」
と、長尾さん。
ちなみに、新橋こいち祭の見どころを伺ったところ『なんといっても、盆踊り』と、おすすめしてくださいました。
盆踊りは、柳通り沿いと桜田公園の両会場で、開催されるそうです。新橋という場所柄もあり、浴衣を着た地元の方々だけではなく、会社帰りのスーツ姿のサラリーマンから千鳥足の酔客まで、思いのままに飛び込みで輪に入り踊っていらっしゃる景色が愉しめるそうです。
23区内の駅前で、これほど大規模に行われるお祭りはなかなかありません。今週は、新橋駅前で思いっきり飲んで、遊んで、踊って楽しみましょう!