
【麻布十番納涼まつり2025】独自企画でキッズも親も笑顔にする「麻布十番青年会」の魅力
麻布十番商店街振興組合が主催する、港区の著名な夏祭りのひとつが「麻布十番納涼まつり」。
麻布十番商店街の老舗や名店、全国各地のご当地グルメやステージをはじめとするさまざまなイベント、江戸風情たっぷりの十番稲荷神社のお囃子など、夏らしい時間を楽しめる大人気のお祭りです。テレビの情報番組などで、「すごい人出です!」とリポートされているのを見たことがある方も多いのではないでしょうか。

画像提供:麻布十番青年会
2025年の「麻布十番納涼まつり」は、8月23日(土)、24日(日)の2日間。
名物グルメやステージなど、パッと目を惹くイベントに気を取られがちですが、キッズが体を動かして遊ぶ簡単なゲームが用意された「ふれあい子供コーナー」も見逃せません。
実は、この「ふれあい子供コーナー」を担当しているのが「麻布十番青年会」。
でも、青年会ってどんな人たちの集まり? 「商店街振興組合」と「青年会」って何が違うの? 納涼まつりの他にはどんな活動をしているの? など、さまざまな疑問が……。
軽い気持ちで疑問を投げかけてみたら「ちょうどいいので、納涼まつりの準備を見に来ませんか?」とのお誘いをいただき、準備でお忙しい中、お邪魔してきました。
今回は、麻布十番青年会の活動やその魅力をご紹介します!
「ふれいあい子供コーナー」はキッズが楽しいだけじゃない! 親も考慮して準備
お邪魔した準備日にいらっしゃったのは、青年会の中心メンバーでもある、会長:根本誠司さん、副会長:玉木真さん、会計:日永祐樹さんの3名。

(左から)会計:日永祐樹さん、会長:根本誠司さん、副会長:玉木真さん。
納涼まつりの準備とはいえ、具体的にどんな準備をするのかしら? と思っていたら、なんと本日は納涼まつりだけでなく、9月開催予定の秋まつりのお神輿についても相談するとのこと。
「ふれいあい子供コーナーの企画は、青年会が担当するのが恒例なんですよ。バタバタしていてすみません(笑)」と、優しく迎えていただきましたが、本日は取材ではなく、あくまでどんな準備をされているか見せていただくこと。気にせず進めてください、とお伝えしつつ、お三方は真剣な表情で、そして時折楽しそうに笑いながら準備を進めていました。

2023年の子供広場の様子。 画像提供:麻布十番青年会
納涼まつりの子供コーナーにある、ゲームの目玉賞品選びでは、
「子どもがこの大きさのぬいぐるみを持って歩いていたら、かわいいよね?」
「大きすぎる? 30cmくらいならちょうどいいか」
「ちょっと予算オーバー気味になるかな?」
「この光るおもちゃ、カッコよくない?」
「いいね~! これカッコいいよ! 欲しいよ!」
「そういえば、去年は賞品を落としちゃう子が結構いたんだよ。親が毎回拾ってあげてて、景品に紐とかつけて、落とさないようにしてあげられるといいと思うんだけど……」
など、キッズのみならず、パパやママにも負担がかからないように気遣う姿勢も。ゲームコーナーの賞品も細かいところまで気にかけて準備されているんだなぁ、と感じつつ、景品選びをしているお三方が、120%童心に返って楽しまれているのが背中から感じられました!

2025年の目玉賞品は、すみっコにくらすかわいい人気キャラクターと、角があるドリーミンなお馬さんみたいです!
ところで、楽しそうに選んでいる賞品、予算はどこから……? 準備の合間に聞いてみると、「青年会の会費や、昨年の売上をやりくりしている」とのこと。
ということは、今年の子供コーナーが大盛況だったら、来年の賞品のグレードアップも期待大!

参加賞のおもちゃも「どれにしようか」と3人でバランスよくチョイス。
麻布十番の秋まつりに登場! 青年会による“後夜祭的”お神輿
8月の納涼まつりが終わると、9月には秋まつりが待ち構えている麻布十番商店街。納涼まつりの準備と共に、秋まつりに向けての相談もはじまっています。本日のテーマは、青年会によるお神輿のルートについて。

膝を突き合わせて、お神輿のコースを相談。
「ここで休憩?」
「この道だと神輿が戻れなくなるから、この角は曲がらないほうがいいんじゃない?」
「そうすると、ここで休憩?」
「去年は少し早く終わったから、時間的にもちょうどいいかもね」
「じゃぁコースはこれで決まりで!」
つい5分前まで賞品選びをしていたと思ったら、今度はパイプ椅子の上に商店街の地図を広げて、お神輿ルートの相談。気心が知れているからこそできる阿吽の呼吸を感じながら、この雰囲気は何かに似ているなぁ……なんだろう? と考えて思いついたのは、高校の学園祭の準備! 文化祭当日も楽しかったけど、今になってみると準備期間の方がいい思い出に残っているんですよね。大人になってからもこんなふうに夢中になれるって、ちょっと羨ましい!
ルートも決まり、会話が途切れたタイミングで、「お神輿って、だいたい神社や町内会のものですよね? 麻布十番は青年会でもお神輿持ってるんですか?」と、質問。
「確かに青年会神輿って、珍しいかもしれないですね。いつから出ているかは定かではないんですが、麻布十番青年会は1954(昭和29)年7月に設立しているから、青年神輿の歴史もだいぶ長いと思いますよ」
秋まつりでは、昼間に町内会のお神輿が出て、青年会神輿は全て終わった夜に担がれるとのこと。

秋まつりでの麻布十番青年会メンバー 画像提供:麻布十番青年会
「青年会でお神輿を持っているわけではないので、青年会メンバーを中心に、みなさんに手伝ってもらいつつ、町内会のお神輿を借りて、若手が担ぐんです」
「昼間の神輿だけでは担ぎたりない! じゃぁ夜にもう一度担ごう! という感じではじまったんですよ」
「今は青年会の半纏を着て担ぐだけですが、昔は歌舞伎の隈取りを模したような化粧をして担いでいたんです」
「うちの父親も青年会に入っていたんで、化粧していましたよ。子どもだったから“こわっ!”って思ってました(笑)」
なぜ今は化粧をしなくなってしまったのでしょうか? そんな独特な演出、無くしてしまうのはもったいない気がします。
「半纏におしろいが付くと、落ちないんですよ。クリーニング屋さんに“落ちないよ~!”って怒られちゃって(笑)」
「でも、化粧はいつかは復活させたいですけどね。今は青年会メンバーが少なくなってしまって難しい部分もありますが、それでも、青年会神輿は毎年出し続けていきたいです」
青年会は麻布十番商店街振興組合の中心を担うための、ひとつのステップ
今回、準備の合間にいろいろと教えてくれたお三方。「麻布十番青年会」に参加しているのは、基本的に、麻布十番のお店の跡継ぎかつ18~45歳までの方だそう。

(左から)会計:日永祐樹さん、会長:根本誠司さん、副会長:玉木真さん。
会長の根本さんは、麻布十番駅から徒歩すぐの電気屋さん「国際音響電機」の3代目、
会計の日永さんは、麻布十番で創業97年の老舗「たぬき煎餅」の4代目、
副会長の玉木さんは、住民として青年会に参加する港区議さんです。
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「飲食店を継いでいるメンバーもいるんですが、夜はお店に出なきゃならないですからね。なかなか全員そろって、は難しいのが実情」とのこと。みなさん、本業もこなしつつ、青年会メンバーとして活動されています。
ところで、麻布十番商店街振興組合の“青年部”ではなく、“青年会”として独立している理由やきっかけって、あるのでしょうか?
「実は麻布十番青年会は、70年前の設立時から“青年会”として独立しているんです。“商店街振興組合の青年部”みたいな呼ばれ方をしたことはないんじゃないかな」と、根本さん。
「父親の代の集合写真を見ると分かるんですが、昔は30人以上所属しているような大きな会だったんです」と、日永さんが見せてくれた写真は、麻布十番青年会で行った旅行の1ページを切り取った、集合写真。

日永さんが見せてくれた昭和33年当時の麻布十番青年会の写真 画像提供:麻布十番青年会
玉木さんも「時代の流れもあり、今のメンバーは10名弱。納涼まつりもお神輿も、青年会だけでは難しくて、みなさんに協力してもらっています」と言います。
「最近は、僕らの活動を外から応援してくれる方もいらっしゃるんです。新橋の青年会と協力しあったり。この間も、新橋こいち祭の手伝いに行ってきました」と、根本さん。
青年会って横のつながりもあるんだ! と驚いていると、3人で「こいち祭の“ゆかた美人コンテスト”みたいなの、麻布十番でもやれるとおもしろそうだよね」「昔やってなかったっけ?」と、話の主軸を麻布十番に置き換えて、ポンポン会話が進みます。
そのテンポの良さに、心から麻布十番の街を盛り上げたい! と想う気持ちが伝わってきました。

声をかけあいながら、明るい雰囲気で準備に取り掛かっていたのが印象的でした。
根本さんは「やっぱり子どものころから青年会の活動を見ていて、自分も参加したいと感じていたんです。麻布十番の街で、まずは青年会に参加する。その次は商店街振興組合に参加して、ゆくゆくは理事として麻布十番を盛り上げたい。麻布十番の街を盛り上げるためのステップのひとつに青年会がある、と思うんですよね」と言います。
今回、納涼まつりなどの準備にお邪魔して印象的だったのは、青年会のお三方が、多くの人に楽しんでもらう準備を“自分ごと”としても楽しんでいる姿。そして、麻布十番を盛り上げたい、という気持ちです。
お話をしていて、ふとしたきっかけがあると「こうしたらどうかな」「こんなグッズがあるといいんじゃない?」「予算はどこから?」と、あっという間に街を盛り上げる会話にシフトしてしまいます(何度も「すみません、話がそれちゃいましたね」と笑いながら謝ってくれました)。
夏から秋にかけては、商店街のイベントが盛り上がる時期。
まずは8月の「麻布十番納涼まつり」にはじまり、9月の「秋まつり」、10月は「ハロウィン」、11月には「酉の市」も待ち構えています。
イベント当日に忙しく、でも心から楽しそうにしている青年会のみなさんを目にするタイミングがあるかもしれませんよ。
【麻布十番納涼まつり】
開催日時:2025年8月23日(土)・24日(日) 15:00~21:00
会場:麻布十番商店街一帯 ※「ふれいあい子供コーナー」は網代公園で開催
主催:麻布十番商店街振興組合
【麻布十番青年会】
麻布十番青年会&麻布十番サポーター 公式LINE:https://lin.ee/VZ5MY7W
イベント情報に加え、ボランティア募集なども行ってます。