あのミステリーの金字塔作品にも貢献!? 菊人形の始まりの地・「植木坂」
植木坂の由来は植木屋さん
「植木坂」――聞くからに茂った緑や木を連想してしまうこの坂が、港区麻布台に存在します。
かつて、この付近には植木屋さんが多くあったことが、坂の名の由来になりました。その植木屋さんらは、かの「菊人形」の製作を始めたことで有名だったそうです。
菊人形っていったい何? あの有名ミステリーにも登場
菊人形とは、菊の花や葉を生花のまま組み合わせ、人形の衣装を作った細工物のこと。江戸時代から続く伝統で、江戸~明治時代にかけて高い人気を誇っていました。
現代でも、福島県の「二本松菊人形」や福井県の「たけふ菊人形」などの催しが行われており、秋の風物詩として観光客や地元の人々を楽しませています。
余談ですが、菊人形の存在を一躍知らしめたのは、有名ミステリー作家・横溝正史の金字塔的作品の1つ、『犬神家の一族』ではないかとひそかに思っています。詳細なネタバレは避けますが、ストーリー中、とある登場人物の〇〇が、菊人形の〇〇に……。初めてテレビドラマで該当シーンを見たときは、「怖っ!」と仰天したものです。
興味を持たれた方は、ぜひ金田一耕助シリーズの原作をチェックしてみてください。『犬神家~』といえば、湖からニョッキリと足が突き出るシーンで有名ですが、菊人形も負けず劣らずのインパクトを誇っています。ミステリー好きにはおすすめです。
謎を抱えるもう1つの由来
実は「植木坂」には、もう1つ由来があると言われていますが、考えれば考えるほど、謎に包まれています。
その説によると、「外苑東通りからおりた所」に由来しているそう。「 植木とどういう関連が?」と、頭の中は「?(ハテナマーク)」でいっぱいです。
実はこの一帯、「鼬(いたち)坂」も「植木坂」も「鼠(ねずみ)坂」も、ほぼ密接にくっ付いているような地形。外苑東通りからおりた所というこの説も、他の坂と混同された可能性があり、真相は闇の中です。
あの文豪がこの地に!? 島崎藤村旧居跡
この植木坂には、詩人・小説家である島崎藤村旧居跡の石碑とリリーフがあります。島崎藤村は明治~昭和時代にかけて活躍し、『若菜集』『夜明け前』などの代表作で知られています。
高名な文学的作家がこの坂道付近で執筆していたとなると、感慨深いものがありますね。
植木坂はいろいろある
菊人形発祥の地(?)でもあり、島崎藤村が邸宅を構えた地でもある植木坂。歴史を振り返ると、その地に隠されたさまざまなルーツが発見できますね!
もっとディープな知識を知りたい方は、「いざまち」内にある「歴史・ルーツ」をご覧ください!
東京都港区麻布台3-4、麻布永坂町の間