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【愛宕神社】23区イチ高い山にある愛宕神社は「火」と深い関係あり!

2023年10月19日

愛宕山の標高は25.7メートル! 23区にあるの天然の山

虎ノ門にある「愛宕神社」は、23区にある自然の地形では一番高い、愛宕山の山頂に鎮座する神社です。

境内に上る急な階段(男坂)は「出世の石段」としても有名。その昔、徳川家三代将軍家光が愛宕山の山頂に咲く美しい梅を見つけ「誰かあの梅取ってきて。馬で」と、現在ならハラスメントで訴えられそうな命を口にしました。傾斜40度とも言われる愛宕山の急階段に家臣たちが怖気づくなか、馬術家の曲木平九郎が馬に乗って見事階段を駆け上り、将軍に梅の枝を献上、一躍「馬術の名人」として有名になったことに由来しています。

徳川家光が所望した将軍梅

実際に訪れると、出世の石段(男坂)は「本当にこの階段を馬で駆け上ることは可能なのか?」と疑うほどの急勾配。

愛宕山の頂上まで86段の階段が一直線に伸びる男坂

ということで、大正と昭和の時代、本当に馬でこの階段を駆け上がることができるか実証実験が行われています。結果はどちらも馬で登ることは可能、しかし下りは大変危険で手こずり、昭和に行われた検証時は馬で下るのは中止されたとか。

火の神様は印刷・コンピュータ関係にもご利益あり?

愛宕神社がお祀りする主祭神は、「火産霊命(ほむすびのみこと)」という火の神様。慶長8(1603)年に、徳川家康により防火の神様として祀られました。ご利益は「防火・防災」、「商売繁盛」に加えて、「印刷・コンピュータ関係」という記載も。
なぜ印刷やコンピュータ関係?と不思議に思いますが、印刷機やサーバなど、大きな機械に電源を入れることを「火を入れる」とも表現することから、印刷・コンピュータ関係のご利益もいただける、ということかな?と推測できます。

時代の変遷にも大きく関わった愛宕山

そして愛宕神社には、もうひとつ「火」にまつわる逸話があります。

伝承によると、慶応4(1868)年に江戸城無血開城を成し遂げた西郷隆盛と勝海舟の二人が、愛宕神社の石段に座り、足元に広がる江戸の町を見下ろしながら、「江戸焦土作戦」について語り合ったと言われているそう。

徳川家家臣であった勝が考えた江戸焦土作戦とは、大政を奉還し完全降伏している徳川家に対して、「もし西郷率いる新政府軍が追い打ちをかけるように江戸に攻め込んだら、それよりも先に江戸の町を焼き払う」という大胆なものでした。もしこの混乱のさなか大都市・江戸が戦場になれば、イギリスをはじめ諸外国に隙を見せることになり、日本の未来に不利益しかないと考えた、勝の先進的な才覚もうかがい知れる作戦です(仮に江戸焦土作戦が決行となったら、町民を避難させるための船の手筈も整えていた)。

兼ねてより親交のあった西郷と勝。ともに愛宕山から活気あふれる江戸の町を見下ろし、「新政府軍が攻め込んで来たら、江戸の町は火の海になることになる」と、交渉術に長けた勝が言葉をかけたのかもしれません。
新政府軍と旧幕府軍、敵味方という枠を超えて西郷も勝の想いに共感し、結果、新政府軍による江戸城総攻撃は中止。江戸の町は焼かれることなく、一滴の血も流さずに江戸城の明け渡しが成し遂げられました。

このことについて勝海舟の日記に記載されているのは、「薩摩藩屋敷で西郷吉之助(隆盛)と面談した」程度。詳細の記載はありません。そのため、実際はどこで、どのような対話が持たれたのか明確にはなっていません。現に、東京メトロ三田駅の出口近くにも「江戸開城 西郷南洲 勝海舟 会見之地」という碑があります。

ただ、勝と西郷が肩を並べ、愛宕山山頂で眼下に広がる江戸の街並みを眺めながら、未来の日本のため会話を重ねていたと考えるほうが、ロマンを感じられるのではないでしょうか。

「江戸名所図会」愛宕社の挿絵には男坂と女坂が描かれている(国会図書館蔵)

いまの愛宕山からの眺望は近代的なビルが立ち並ぶ都会ですが、江戸時代は、徳川家の別邸であった浜離宮恩賜庭園を超え、東京湾まで見渡せたと言います。86段の階段を上るのは少し大変ですが、階段を上り切ったら、振り返って愛宕山からの風景を眺めてみてください。

入り口の鳥居があんなに小さく!

ちなみに、下りは出世の階段(男坂)の隣にある「女坂」を下る人が多いよう。愛宕山をまっすぐに上る男坂と違い、女坂は蛇行したゆるやかな階段です。「出世の階段を下りるのは縁起がよくない」と言う人もいるようですが、ゲン担ぎを抜きにしても、急斜面でさらに階段の幅も狭い男坂を下りるなら十分な注意が必要。

隣接するNHK放送博物館の横にはエレベーターもあるので、高所恐怖症で下りに自信のない方はこちらからどうぞ。

愛宕神社
住所:東京都港区愛宕1-5-3
時間:6:00~17:00
アクセス:東京メトロ日比谷線神谷町駅より徒歩5分、虎ノ門ヒルズ駅より徒歩5分、銀座線虎ノ門駅より徒歩8分、都営三田線御成門駅より徒歩8分、JR新橋駅より徒歩20分

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