
災害現場ではたらく人やクルマが集結 ――「赤坂サカス防災フェス2025」に行ってきました!
「防災の秋」。11月26日に発生した香港の高層マンション火災は衝撃的でした。マンションが多い港区で働く私たちも、決して無関係ではいられません。今後30年間に約70%の確率で首都直下地震が起こるともいわれており、区内にお住いの方も、家族で避難情報を共有しておきたいものです。
災害大国・日本。マンションがひしめき合い、通うものの周辺地理に詳しくないオフィスワーカーも多いこの港区だからこそ、防災を身近に感じ、身を守る方法を考えるきっかけとなるイベントが必要です。
今回は、TBS赤坂サカス広場にて開催された「赤坂サカス防災フェス2025」のイベント参加レポートをお送りします。
赤坂から被災地を応援できる多機能キッチンカーが登場
今回で3回目の開催となる防災フェス。今年は11月22日(土)23日(日)の二日間にわたって開催されました。『いざまち』では初日の様子をお届けします。
会場では両日とも「被災地応援ブース」が展開されていました。石川県能登半島地震で破損した伝統工芸品「九谷焼」や「珠州焼」の破片を集め、再利用する生活雑貨づくりのワークショップは必見。炊き出しランチの売上が被災地支援につながる「レスキューキッチンカー」も見どころです。
このレスキューキッチンカーには、防災用品や備蓄食、テント、簡易トイレなどを完備しています。火を使わずに、お湯や水で炊きたてのような状態に戻せる「アルファ米」など500人分以上の食糧が備蓄できるのだそうです。
しかも車体全体がホワイトボードになっており、伝言板として使えるほか、メニューの看板が担架や車いすとして活用できるように設計されています。救援物資が到着するまでの数日間、不安を抱える人々にさまざまな面で支える工夫が施されています。
さらに“レスキュー”キッチンカーは、フードロスを解消する役割も持ち合わせています。傷が付いたり割れてしまった規格外食材などを料理に使用することで、捨てられるはずの食材に価値が生まれ、環境にもやさしく農家の収益にもつながる取り組みです。
『いざまち』編集部でも炊き出しメニューをいただきました。アルファ米のおにぎりは、炊き立てのようなもっちりふわふわな食感。石川県で親しまれるみそ調味料「とり野菜みそ」を使った豚汁は、タケノコやニンジンなど具材がたっぷり入っており、体に染み渡る優しい味わいでした。

ワークショップでは能登・金沢の伝統工芸品の破片を組み合わせて、箸置きや髪留めを作れます。

防災フェス出店企業「尾西食品」のアルファ米で作られたおにぎりと、被災地でも振舞われた「とり野菜みそ」を使った豚汁のセット。
五感を刺激するVR防災体験車や地元企業のブースも大盛況
今回のイベントは、東京消防庁をはじめ、赤坂消防署、赤坂警察署、そしてMBS毎日放送、三井不動産株式会社など多くの組織や企業の協力・協賛のもと、行われています。
東京消防庁のブースでは、地震発生時の状況を再現する「VR防災体験車」に乗車しました。食卓で突然始まる大きな揺れ、室内に降り注ぐ窓ガラス、揺れが収まった瞬間ガスの火を消してドアをあけ避難経路を確保する映像など……。本番さながらの揺れと恐怖に襲われながらも、命を守るために行うべき対処を体験することができました。
ほかにも、在宅避難を可能にする「防災防犯ガラス」を展示するブースも印象に残っています。港区高輪で活動する「板硝子協会」が制作しており、2枚の板ガラスの間に合成樹脂の中間膜をはさんでいます。これにより、地震によるガラスの割れを最小限に抑え、割れてしまったとしても破片がほとんど飛び散らないようになっているそうです。

ステージ上では数種類のガラスをハンマーで叩き割る実演が行われ、「防災防犯ガラス」の耐久性をその場で感じることができました。
会場に集まった小さなお子さん連れに好評だったのは、災害現場で働く車に乗れる乗車体験コーナー。本物の白バイやパトカーなどにみんな目を輝かせています。ミニ防火服の試着や消火体験が楽しめる赤坂消防署のブースも賑わっていました!

消火器の使い方を、地元で活躍する消防団員が優しく教えてくれます。
想像以上の高さに仰天!人生初のはしご車体験
イベントの最大の目玉は、高さ約20mからTBS放送センター前の景色を一望できる「はしご車」体験です!最大30mの高さまで伸びるはしごの先端に設置されたバスケット部分に乗って、現場さながらの高さと迫力を味わうことができました。
私は高いところが少々苦手なのですが、乗車体験ではオレンジ色の活動服を着用した「救助隊(レスキュー隊)」の隊員の方がサポートしてくれるので安心です。はしごは徐々に回転しながら上昇し、20mの高さに到達。そのとき、命がけで働く消防士さんの姿を想像して驚愕しました。

5歳未満のお子さんでも、保護者の方と一緒に乗車体験ができます。

残念ながらはしご車から見下ろすパノラマはお届けできませんが、写真からその高さや臨場感が伝わるでしょうか。
サカス広場がキャラクターづくしに?
防災知識が楽しく身につく○×クイズ
会場には東京消防庁マスコットの「キュータ」をはじめ、警視庁マスコット「ピーポくん」、赤坂親善大使「アユミン」「アカサカメン」「アカオくん」の3人、TBSテレビのマスコットキャラクター「BooBo(ブーブ)」と「Boona(ブーナ)」、さらにTBSグループキャラクターの「ワクティ」が集結!
TBS新人アナウンサー・長尾アナとともに、防災フェスを盛り上げました。

赤坂にマスコットキャラクターが3人もいるなんてびっくりしました。

東京消防庁マスコット「キュータ」。ステージ前には大勢のお子さんが集まり、キャラクターたちとの触れ合いや記念撮影を楽しんでいました。
オープニングには、全キャラクターがステージに集合し、TBSテレビ「THE TIME,」に出演中の増田気象予報士による防災○×クイズが開催されました。
「大地震のあとにガスくさい臭いがしたら、換気扇のスイッチを入れて臭いを外にだしてはいけない、〇か×か?」という問題も。
正解は……〇でした。「換気扇のスイッチを入れた時に火花が散ってガスに移ってしまうと、火が一気に燃え広がる可能性があります」といったわかりやすい解説に、ふむふむとうなずく子どもたち。
大人も、知っていそうで意外と知らない防災の知識を教えてくれました。子どもだけで火災現場に取り残されたケースを想定した、助けの呼び方も実演指導。もしもの時、少しでも知識を身に着けておくと落ち着いた対応につながるかもしれません。

クイズはキャラクター達と一緒に〇か×かを予想します。楽しく考えながら学び防災知識を身に着けられるコーナーでした。
迫力満点!警備犬や特別救助隊による訓練実演パフォーマンス
防災フェス1日目の午後には、赤坂警察署の警備犬による救出救助訓練を披露。
刑事部に所属し、犯罪現場で犯人の足跡を追及したり、証拠品を見つけたりして捜査のサポートをするのが警察犬。それに対して「警備犬」は警備部に所属し、爆発物の捜索やテロリストなど凶悪犯人の制圧、地震災害や土砂災害などで行方不明になった人の捜索などを主な活動としています。先月(2025年10月)トランプ大統領が来日した際にも出動したそうです。
イベントでは、災害現場で活躍する「警備犬」の訓練の様子を見学しました。ハンドラー(警備犬専属の担当者)と警備犬の日ごろの訓練の成果や、彼らの絆が垣間見えました。さらに、避難所での生活の大変さや防犯・衛生面での課題を発信。長い避難生活を見据えて準備しておくべきことや、自宅避難の大切さを訴えました。

がれきに取り残された人を探す訓練。警備犬は人が残っている建物をみつけると瞬時に吠えることでハンドラーと連携をとっていました。
イベント最後には、「特別救助隊によるロープレスキュー訓練」のパフォーマンスが繰り広げられました。TBS本社ビル約20mの高さから実際のロープレスキューを披露。人に見立てた人形を背負った状態でロープを降りる様子を間近で見ることができました。体の軸のブレを一切感じさせず、素早くロープを下降していく姿に驚かされました。

命がけで人々を救うお仕事は日ごろから厳しい訓練を積み重ねているのですね。
ニュースやドラマなど、普段は画面の向こう側で目にすることが多い特別救助隊や警備犬、ハンドラーたち。街を守るヒーロ―の姿はとてもかっこよく、脳裏に焼き付いています。将来このような職業に就きたいと思うお子さんも増えたのではないでしょうか。
私は、災害現場で働く人々を身近に感じることで、防災知識や自分の身の守り方への関心が一層高まりました。親子で参加できるこのようなイベントが都心で開催されているのも、とてもありがたいことです。今年は参加できなかったという方も、来年はぜひ赤坂サカスへ足を運んでみてください。
【赤坂サカス防災フェス】
会場:TBS放送センター前・赤坂サカス広場
住所:東京都港区赤坂5-3-6
期間:例年11月第4土・日曜
料金:入場無料
アクセス:東京メトロ千代田線赤坂駅より直結、東京メトロ丸の内線・銀座線赤坂見附駅より徒歩8分、東京メトロ銀座線・南北線溜池山王駅「7番出口」より徒歩7分


