乃木希典大将・静子夫人にあやかりたい!戦前から結婚式で人気の乃木神社
港区赤坂にある、乃木神社。御祭神は日露戦争などで活躍し、“軍神”とも評された乃木希典大将と静子夫人です。乃木大将の功績から、勝利の神様としても有名ですが、実在したご夫婦をお祀りしていることもあり、おふたりにあやかりたいと、結婚式でも人気の神社。
今回は、良縁の御守りや、参拝したらぜひチェックしたい、知る人ぞ知るポイントを、禰宜の飯島正弘さんに教えていただきました!
乃木神社 禰宜・飯島正弘さん
昭和45年(1970)生まれ。千葉県出身。
三重県伊勢市にある、皇學館大学国史学科卒業後、平成6(1994)年3月より乃木神社に奉職し、平成29(2017)年4月より現職を担う。
▼乃木神社の歴史についてはこちらの記事で紹介しています
【乃木神社】実在の人物である乃木希典大将・静子夫人をお祀りした経緯を解説!
まさに内助の功! 乃木大将と静子夫人のエピソード
日露戦争の勝利に貢献し、学習院長として昭和天皇の教育係も務めた乃木希典大将。明治天皇の崩御を受けて、当時の邸宅であった旧乃木邸で自刃し、現在は乃木神社の御祭神として静子夫人とともにお祀りされています。
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乃木希典大将と静子夫人(画像提供:乃木神社)
忠誠、実直、清廉潔白など、乃木大将を表わす言葉は多々ありますが、静子夫人を表わす言葉は、まさに「内助の功」。飯島さんも「静子夫人は、本当に内助の功を尽された方だと思います。大変だったと思いますよ」と言います。
「日露戦争での戦死者の慰霊に心を尽くされていたのはお話しましたが、乃木さんはご自分のことにはお金を使われなかった方。慰問もそうですが、たとえば、大切だと思う古典などの書物を自分で復刊して、印刷までして配ったり。お金はそういったことに全部使っちゃう(笑)」
確かに、乃木神社のすぐお隣にある旧乃木邸も驚くほど質素。飯島さんも「そうですよね。文京区にある椿山荘(編注:もとは乃木大将と同時期の軍人・山縣有朋による庭と邸宅)とは違いますよね」と笑います。
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「旧乃木邸は、乃木さんの性格を表していますよね。明治35(1902)年に建てられましたが、その13年前、明治22(1900)年に、まず馬小屋が建てられています。乃木さんがお住まいになっていた母屋は、それまでは本当に昔の、かなり古い日本家屋でした」
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明治35(1902)年に建てられた旧乃木邸
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旧乃木邸・馬屋
訪れてみると分かりますが、木造でシンプルな旧乃木邸のはす向かいにある馬舎は、なんと立派なレンガ造り。
「あのレンガは、イギリスから輸入した舶来物。当時、レンガを運ぶのを見ていた地域の人たちは、さぞ立派な洋館ができるんだろうと思っていたらしいです。でも、完成してみたら馬舎だったという(笑)」
乃木大将と馬にまつわるエピソードは色々ありますが、それはまた別の記事でご紹介するので、お楽しみに。
「ご結婚されてご長男が生まれてすぐの頃、実は乃木さん、静子夫人としばらく別居していた時期がありました。乃木さんのお母様と静子さんがちょっとうまく行っていなかった時期があったようで……。なので、乃木さんが気を使って別居という形をとられたのです。
でも、静子夫人もこのままではいけないという気持ちがあったのでしょうね。お詫びして戻られた後は、お姑さんとの関係もかなり良好になって、最後には“うちの嫁は日本一だ”って言われるぐらいの仲でした」
今と時代が違うとはいえ、厳しい乃木家に嫁ぐというのは、想像以上に大変だったのかもしれません。「うちの嫁は日本一」と言われるほど努力されたのかと考えると、尊敬の念しかありませんよね。
「乃木神社もご夫婦の神様をお祀りしていますが、ご夫婦と言えども、最初から最後までいいことばかりじゃないですからね。でも、しっかり最後まで添い遂げられる、という意味では、戦前からおふたりにあやかりたい、と結婚式をあげられる方が多かったと聞いています」
新婚だけが夫婦じゃない! さまざまな御守も、持つ気持ちが大切
おふたりにあやかりたいと、乃木神社で結婚式を挙げられる方も多いですが、乃木神社には「つれそひ守」「よりそひ守」という、パートナー同士で持ちたい御守があります。
「つれそひ守」は、ふたつを合わせると、艶やかな柄が完成し、「よりそひ守」は、白無垢と紋服。
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「つれそひ守」と「よりそひ守」は贈り物にもおすすめできそう。
「やはりご夫婦の神様ですから、御祭神にまつわる御守があるといいんじゃないか、ということで、平成20(2008)年の終わりごろからお出しするようになりました。実は、乃木神社で結婚式を挙げていただいた方には一般にお出ししていない御守をお渡ししているのですが、たくさんの方にもお渡しできるものが欲しいと考えたのがきっかけです。
でも、ご夫婦やパートナーは新婚さんだけじゃない。なので、『つれそひ守』『よりそひ守』のおふたつ」
もちろん、乃木神社の御守は「よりそひ守」「つれそひ守」だけではありません。なんと、御守の内符(編注:お守りの中身のこと)と外側の袋を自分で選べる「えらべるおまもり」もあります!
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どれにしようか悩んでしまう、「えらべるおまもり」の外袋と内符。
「御守って、たとえば“学業成就”とか“縁結”とか、御祈願したいことが書かれているのが一般的ですよね。“交通安全”くらいなら気にならないかもしれませんが、人目にさらすものではないよね、という話もあって(笑)」
確かに……。縁結びの御守を目につきやすいところに結ぶのは、勇気がいるかも……。
「だから、内符と外袋を別にして、ご自分で選んでもらうのはどうだろう、という発想です。ご自分で選んでいただいて、大切にお持ちいただくのも良いかなと。
外袋の柄は5種類ですが、全て神社や乃木さんにちなんだ柄。『たばねのし』は熨斗ですね。『うま』は、もちろん乃木さんが大切にされていた馬、『ひょうたん』も、乃木さんがお酒や水を入れていたり、愛用されていた品です。あとは、『なつめ』と『かいのき』。なつめは、旧乃木邸の玄関前にいまもありますが、日露戦争で降伏したロシアのステッセル将軍と会見した、水師営(現在の大連市旅順)のなつめから。楷(かい)の木は授与所のすぐ横にあるんですが、中国の孔子廟の種子から育成された木です」
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授与所のすぐ隣。立派な楷の木は、港区の保護樹木でもあります。
シンプルで落ち着いたデザインの外袋は、授与所の前で悩んでしまうほど素敵。自分で選んだ外袋に入った御守、いつも以上に大切にしたくなりそうです。どの外袋も素敵で選び難いですね、と話していると、「縁結守を分かりやすくぶら下げておくのも、それはそれで効果的かもしれないですけどね」と、飯島さんから笑顔がこぼれました。
乃木神社の「隠れハートマーク」を 探して撮影するとご利益あり!?
いろいろと話をうかがっていると、「そうそう」と飯島さん。
「戦時中、この辺りは焼け野原になってしまったのですが、戦災を免れた手水舎の屋根が、屋根だけ社務所のすぐ前に移してあります。その屋根をよく探していただくと、ハートマークみたいな形を見つけることができますよ」
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戦火を免れた、もと手水舎の屋根。
まさかの、神社に隠れハートが!?
「懸魚(げぎょ)と言って火除けの意味があるのですが、写真に撮るといいよ、という話があるらしく、たまに“どこにあるんですか?”と聞かれたりします(笑)」
場所を伺ったら快く教えてくれるかもしれませんが、頑張って自分で探してみるのもおすすめ。ヒントは「授与所の正面」です。
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乃木神社の隠れハート。どこにあるでしょうか!?
乃木希典大将と静子夫人が御祭神の乃木神社。戦前から結婚式も人気で、ふたりの将来を祈願できる御守に加え、隠れハートもあるなんて、良縁に恵まれそうな気がします!
【乃木神社】
住所:東京都港区赤坂8-11-27
時間:6:00~17:00/授与品受付:9:00~17:00/宝物殿拝観:9:00~17:00
アクセス:東京メトロ千代田線「乃木坂駅」より徒歩すぐ