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港区の公園「旧芝離宮恩賜庭園」

2023年9月6日

無料で観覧できる希少な大名庭園

JR浜松町駅の目の前。海岸に沿うような形で広がる旧芝離宮恩賜庭園は、江戸時代初期の大名庭園の構造を今に伝える貴重な公園です。

池を中心とした回遊式泉水庭園と呼ばれる形式の庭で、中心に据えられた巨大な池をぐるぐる回るようにして周囲を楽しむコンセプトで設計されています。

江戸時代初期にあたる17世紀初頭に作られた大名庭園は、都内では文京区の小石川後楽園しか残っておらず、大変貴重な史跡です。

それなのに現在は都立公園として開放されていますので、なんと無料で観覧することができます!

所有者がころころ入れ替わった庭園

そもそも旧芝離宮恩賜庭園のある一帯は、16世紀ごろまでは海でした。この辺りが埋め立てられたのは名暦年間(1655~1658年)ごろであったと言われています。

16世紀末に江戸へやってきた徳川家康は、大規模な治水や海の埋め立てを行い都市を広げていきました。土木工事の技術が飛躍的に高まったことで、東京湾の沿岸部の多くが新たな居住エリアとして埋め立てられていきました。

延宝6(1678)年、江戸幕府の老中を務めていた小田原藩主・大久保忠朝が一帯を拝領しました。忠朝は、拝領した地に上屋敷の建築を始めました。この屋敷とともに整備された庭園「楽寿園」が、旧芝離宮庭園の元となりました。

この庭園は江戸時代を通じて幾人かの所有者の手を渡り歩きましたが、幕末時には御三家のひとつ紀州徳川家の芝御屋敷となり、そのまま明治維新を迎えます。明治4(1871)年に有栖川宮家の所有となりましたが、明治9(1876)年には天皇家の所有となり、芝離宮と称されるようになりました。

大正12(1923)年に発生した関東大震災により、離宮に建っていた建造物部分は大きな被害を受けましたが、江戸時代初期に作られた庭園の基礎部分はそれほど大きな被害を受けませんでした。そこで、翌年、の皇太子(後の昭和天皇)のご成婚記念として、東京市に下賜され、公園として一般公開されることとなり現在に至っています。

駅徒歩一分!観光次いでに立ち寄れる

旧芝離宮恩賜庭園は、以上のように、大変古い歴史を持ったスポットなのですが、周囲には東京タワーや増上寺、愛宕神社といった人気観光スポットが多くあるため、あまり注目されることがありません。

ですが、駅から徒歩一分かつ、池を一週しても40分程度のため、ちょっとした空き時間に立ち寄りやすいスポットです。季節や時間帯により、池はまるで異なる風景を見せてくれるため、周辺観光を計画中の際は是非足を運んでみてください。

旧芝離宮恩賜庭園
住所:東京都港区海岸一丁目
時間:9:00~17:00(入園は16:30まで)
休園日:年末年始(12月29日~翌年1月1日まで)
料金:一般150円、65歳以上70円
※小学生以下及び都内在住・在学の中学生は無料
アクセス:JR山手線・京浜東北線浜松町より徒歩1分、都営地下鉄浅草線・大江戸線大門駅より徒歩3分

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