【歳末・年始イベント】実は港区に多い?「氷川神社」とは
「氷川神社」とは
氷川神社の社記によると、孝昭天皇の時代に創立されたと伝えられています。令和10年には、御鎮座2500年祭を迎える、日本でも指折りの古社。
埼玉県・大宮を中心に、北海道から鹿児島まで「氷川神社」名を持つ神社は建立されており、その数は約280社とも言われます。
「氷川」という名称の由来は、出雲国・簸川(現在の島根県斐伊川)にあるとされており、簸川の上流は素盞嗚尊(すさのおみこと)の「八岐大蛇退治(やまたのおろちたいじ)」の舞台と伝えられています。
総本社は大宮にある
大宮にある氷川神社は、通称「武蔵一宮」と呼ばれています。“大いなる宮居”として、「大宮」の地名の由来にもなっています。「一の鳥居」から「三の鳥居」まで、参道の長さは約2kmもあり、“日本一長い参道”としても有名です。
さらに、武蔵一宮の広大な敷地内には、本殿以外にも10以上の神社を擁しています。たとえば、多数並ぶ赤い鳥居で有名な、食物の神「倉稲魂命(うかのみたまのみこと)」を御祭神とする氷川稲荷神社。ほかにも、航海の神である宗像三女神を祀った宗像神社、酒造・水の神「大山咋命(おおやまくいのみこと)」を御祭神とする「松尾神社」などが鎮座しています。
港区内の氷川神社
もともと、氷川神社は荒川の流域に多く鎮座しており、この港区内には、3つの氷川神社があります。
赤坂氷川神社
赤坂氷川神社は、951(天暦5)年、東国を遊行していた蓮林僧正が一ツ木村(現在の赤坂4丁目付近)で一夜を明かしたとき、夢の中で御祭神のお告げがあり、この地に氷川明神の社殿を建てて祀ったことが起源とされています。
江戸時代、紀州出身の徳川吉宗は8代将軍を継ぐにあたり、紀州藩の中屋敷が赤坂にあったことから、氷川明神を尊信。
1729年には、老中水野忠之を総責任者に命じ、現在の地に社殿を造営しました。
明治元年には、明治天皇から新しい首都東京の鎮護と万民の安泰を祈る「准勅祭社」に定められ、現在では「東京十社」のひとつに数えられています。
麻布氷川神社
938年、源経基(みなもとのつねもと)朝臣が天慶の乱(平将門)を鎮めに東征した際、武蔵国豊島郡谷盛浅布冠の松(現・麻布一本松の地)に創祀・創建しました。文武に秀でた経基は、鎌倉幕府の源氏将軍や足利将軍の武家政権を築いた清和源氏(せいわげんじ)の祖になります。
大使館が並ぶ都心の一角に佇む大きな鳥居は、そこだけ別世界のような、静謐で荘厳な雰囲気を醸し出しています。
白金氷川神社
白金氷川神社は、白鳳年間(672~686)に、白金の総鎮守の氏神様として創建されました。実は港区内で最古の神社といわれます。
後醍醐天皇や楠木正成ら、吉野朝の人物を祀った「建武神社」があることでも知られています。
また、社殿の裏山に住み着いているとうわさの猫(通称「プラチナキャット」)たちに、運が良ければ会えるかも? 境内でまったり寛いでいるようなので、猫好きさんはぜひ訪れたいスポットです。
それぞれのご祭神
港区の氷川神社には、それぞれ下記の通りご祭神を祀っています。
赤坂氷川神社
・素盞嗚尊(すさのおのみこと)
天照大神(あまてらすおおみかみ)の弟。八つの頭を持つ大蛇・八岐大蛇(やまたのおろち)を退治し、生贄になるはずだった稲田姫命を助けたことでも有名です。御神名の「すさ」という言葉は、「すさぶる(荒ぶる)」という意味。穢れ・災い・災厄など、悪しきものを荒々しい力で祓い清める力があることを表します。
・稲田姫命(いなだひめのみこと)
「稲の稔る田」を象徴する名を持ち、豊穣を司る神様。須佐之男命に助けられ、後に2神は結婚。島根県の出雲に宮殿を構えました。後述の島根県「八重垣神社」でもおなじみです。
・大己貴命(おおなむちのみこと)
穀物の神様である少彦名命(すくなびこなのみこと)とともに豊かな国づくりを進められ、農業・漁業・医療・殖産など数多くの知恵を授けられたと言われます。「因幡の白兎」で、傷ついたウサギを救った神様でもあります。あらゆる「むすび」の神様であり、男女の縁だけでなく、友人関係、仕事、子宝などさまざまな縁を結ぶといわれます。
麻布氷川神社
・素盞嗚尊
・日本武尊(やまとたけるのみこと)
『古事記』『日本書紀』などで活躍する、武力に優れた英雄の神。死後、その霊が白鳥となり飛び去ったという伝説があります。
白金氷川神社
・素盞嗚尊
・日本武尊
・稲田姫命
かの有名な八重垣神社にそっくり?
素盞嗚尊と稲田姫命といえば、島根県のパワースポット「八重垣神社」のご祭神としてもおなじみです。
八岐大蛇から見事稲田姫命を救った素盞嗚尊は、夫婦になり佐草の地に宮を造りました。そこで有名な「八雲立つ 出雲八重垣 妻込めに 八重垣造る その八重垣を」の歌を詠み、それが神社の由来になったといわれます。
ご祭神が同じだけあって、八重垣神社の本殿は、赤坂氷川神社の本殿と少し似ている気もしますね。
稲田姫が水を飲み、姿を映したといわれを持つ「鏡の池」。現代では、神社で売っている紙を池にうかべて硬貨をのせる縁結び占いが大人気。沈む早さが早いほど、恋も早く叶うと言われています。
「氷川神社」参拝でこんなご利益があるかも?
港区内の氷川神社を参拝すると、こんなご利益を得ることができます。
赤坂氷川神社
厄除、縁結び、家内安全、商売繁昌
麻布氷川神社
勝運、商売繁盛、厄除け、開運、出世、財運、安産祈願、災難除け、学問上達、試験合格、家内安全、縁結び、国土安隱
白金氷川神社
開運、厄除、身体健康、災禍消除、家内安全、商売繁昌、病気平癒、交通安全
訪れやすいスポットを選ぶのもよし、ご利益で選ぶのもよし。1月の初詣前に、お近くの氷川神社をぜひチェックしておきましょう。
【赤坂氷川神社】
住所:東京都港区赤坂6-10-12
時間:9:00~17:00
※受付時間は、天候等の影響により変更になる場合がございます。
アクセス:東京メトロ千代田線赤坂駅「6番出口」、日比谷線・大江戸線六本木駅「7番出口」、南北線六本木一丁目駅「1番出口」より徒歩10分
【麻布氷川神社】
住所:東京都港区元麻布1-4-23
時間:9:00~16:00
※受付時間は、天候等の影響により変更になる場合がございます。
アクセス:南北線麻布十番駅「出口4番」または「出口1番」より徒歩8分、大江戸線麻布十番駅より徒歩7分
【白金氷川神社】
住所:東京都港区白金2-1-7
アクセス:東京メトロ南北線、都営三田線白金高輪駅「3番出口」より徒歩4分